君が教えてくれたこと

八月は流星群がやって来るって

これは君が教えてくれたこと

東京にも灰の雨が降るって

これも君が教えてくれたこと


世の中の95%の人間のあたりまえが

実はとんでもない誤謬だったとして

それは誤謬とは気づかれず

それは常識と呼ばれているって


人はそのことを疑ってしまっては、

恐怖で何もできなくなってしまうから、

それにみんな気づいてしまわないよう

共通の物語で自己を縛るのであり

それが正義や法と呼ばれるのだと


95%の誤謬を

糾弾する5%が現れたとき

それらは少数派や異端者と呼ばれ

誤謬は変わらず正解なのだと


言葉が大量生産されて

大きなものが主語になるとき

人は小さなものを忘れて

小さなものに宿る大きな意味を

どこかに置き忘れて来てしまったと


数撃ちゃあたるで撃ち尽くされたら

その撃ち損じを撃つのが言葉だと


それも君が教えてくれたこと


闘う者たちの死体の後ろで

浮かぶ蜃気楼が平和なんだって

平和の対義語は最前線なんだって

戦争と戦争の間が平和だって


みんな君が教えてくれたこと


言葉で世界は変えられるんだって

世界は少しだけ美しくなるって


教えてくれた君は、帰らない

骨一本以外、まだ帰らない

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