偽りビギナーの仮想世界

No.0-0 プロローグ

　今から15年程前日本の太平洋沖に大きな人工島が建設された。

　その島の名は『水守学園研究都市（みなかみがくえんけんきゅうとし）』、通称『水守都市（みなかみとし）』は国と様々な企業が共同で建設が進められ、名前の通り科学技術を中心に国内の優秀な研究者や学生を送り込み島は独自に発展していった。

　そして6年前、何故か島内でしかサービスは展開されてはいないが『Rosetta Stone（ロゼッタストーン）』というVRMMORPGが登場した。

　それはファンタジー世界を中心にデザインされており、自身は体内に『核石（セミ・クリスタル）』と呼ばれる石を埋め込まれた新人種『核石人種（プレイヤー）』としてこの世界の中を駆け巡る。そして剣や魔法、そしてドラゴン等、神話上に登場する生物など、グラフィックやそのゲームとしてのクオリティーは遥かに他のゲームを圧倒していた。またこの島では『Pec（ペック）』と呼ばれる独自の仮想通貨が発行されているが、一部をゲーム内でも共用で使用することも可能である。故にこの島の中の住人はお小遣い稼ぎでこのゲームをプレイする人や、純粋にこのゲームが上手くなりたい、楽しみたい等様々な人が集い結果的に同接数十万を記録するなど記録的大ヒットとなった。

　そしてこれは、そんな2つの世界と一人の少年の話。