第8話 契約は交わされた

「出てきた穴が無い…」

「あっ…あ~そっちの穴か…ビックリしたわよ、そんな機能あったかなって思っちゃったオスなのに」

「バカ姉貴…」


「帰してよ~」

「勝手に帰ってもらって結構なんですけど…」

「だから、どうやって帰るのよ~」

「呼んどいてなんだけど…ちょっと、その手違いなもんで…」

「チェンジ!!」

 オカルティックな姉がドアを指さして叫んだ。

「そりゃヒデェよ…姉貴…」

 見ればコバヤシマルがズーンと沈んでいた。


「解ったわ…」

 本を読みこんだオカルティックな姉が何かを掴んだようだ。

「帰れるの?」

「帰れるわ、サトシの願いを叶えれば」

「願い?俺の?」

「そうよ、アンタのよ」

「そうか…夏休みを1ヶ月延長してくれ」

「延長はできないわ規則なの」

「なんの?」

「契約の、召喚時に願った願い以外はNGなの当店では」

 姉と弟がヤイヤイしている間、蚊帳の外なコバヤシマル、クタッとベッドに横たわる。

(この匂いはなんだろう?)

 自分の身体から香る、個性的なアロマ的な香り…。

(眠い…眠くなる…)

「よし、コバヤシマル、自由研究を手伝ってくれ」

「アガッ?」

 半分寝ていたところに、思いもよらない依頼が飛び込んだ。


「自由研究?」

「そうだ、テーマは永久機関だ」

「永久機関…バカのクセに大それたテーマを…」

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