第3話 スポッと吸い込まれたわけで…

(なんなんだ…この穴は…)

 元々あったのか?気づかずに3年、アタシはこの上で眠っていたのか?

(在り得ないでしょ…)

 この、やる気スイッチオフのブラックホールみたいなのが部屋にあるって…事故物件を軽々超えてるでしょ。

(どうしよう…まぁでも…いいか…どうせ来週には引き払われるんだし…)

 なんかもう、どうでもよくなっていた。

 今さら、ブラックホールがあったって…もう。


 窓の外には、うっすらと白い月が浮かんでいる。

「日本は今…深夜12時くらいか…」

 赤ワインをラッパ飲みしながら、服を脱いだ。

 白ワインのような薄いグリーンのショーツ1枚。

 長い黒髪をほどくと、心地よい風が髪を撫でる。

(ん?)

 窓は閉まっている…のに…風が吹くって…なに?

「ギャッ!!」

 突然身体が後ろに引っ張られた。

「えっ?」

 ブラックホールが本気だしてきた。

 やる気スイッチを入れたらしい。

(アタシのスレンダーの肢体がトリガーだったのかしら?)


 アワタタッタとよろけながらも身体は引っ張られていく、髪の毛を引っ張られる様にスポッと頭が吸い込まれた

「アガッ!!」


 頭が吸い込まれると後は早かった。

 アッと言う間に吸い込まれたのである。


 フワリと浮いた身体…流されているのか、留まっているのかも解らない。

(死ぬのかな…アタシ)

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