帰ってきた魔神はもう一度頑張る
Lドラド
プロローグ
とある世界で『厄災』と呼ばれた人間族、亜人族、魔族による全面的な戦争があった。
もちろん、それは歴史上で最悪とも言われるほどの血に塗られた戦いとなった。全ては自分たちの平和を勝ち取るために、支配するためにといった私利私欲なもののために関係の無い者の命を奪っていった。
しかしそれは思わぬ方向へと進んでいったのだった。
魔神と彼につく唯一の側近の介入によって。
魔神達の力は凄まじく、各族の最強の戦士を持ってしても傷一つ付けることは出来なかった。
そしてその事実を知った者達は戦争することをやめ、少しでも魔神に抵抗するという共通の目的を持ち、共闘し始めた。
その結果何とか魔神を退けることに成功し、そのままその戦争は共闘したという事実を消すために上の人物の策略により歴史上から消えることとなった。
その戦争が終わりそれから数年。最初は共存をしていたこの世界だったが亜種族に反旗を翻す者達が現れ、魔神の介入は魔族によるものと濡れ衣を着せられ、再び魔族は他の種族と敵対してしまうことになってしまった。
そして人族は魔神を封印することを決行した。またいつか世界を脅かす可能性があったからだ。
そして多くの僧侶、魔法使いを集め、彼が住んでいるであろう洞窟へと歩み寄った。
しかし、その時の彼の行動は魔神というイメージから大きく変わっていた。
「…俺のせいでこんな世界になっているなら俺は封印されよう。だから平和な世界を作ってくれ…」
彼は自分から封印を望んでしまったのだから。
僧侶達は魔神を封印するのではなく別の世界に転移させることにした。彼ほどの実力なら封印をも解くことが出来ると恐れたからだ。
そして彼は魔法陣の光に包まれこの世界からいなくなったのだった。
そしてそれから地球の年月で一世紀以上が経った頃。
「何故ですか!」
人間族の中で、三大領土ともいわれているほど栄えている国の一つ、コーラル王国の中の城、コーラル城では1人の女性の怒号が聞こえていた。
「…まあ、落ち着け。ルカ」
城内の大広間、この国の王であるゼノン=コーラルは長く艶のある金色の髪に翡翠色の瞳、玉のような白い肌でコーラル1の美貌とも言われている騎士団長のルカを宥めようとする。
「しかし!今でも戦争は絶えません!そしてそれを防ぐのが我々騎士団の仕事ではないのですか!?なぜ私達にその命令を下さないのですか!?」
それでもその程度の言葉彼女には無駄であり、ルカは言葉を並べていく。
「…確かにルカの言うことも一理ある。私達は現状の原因を魔族の王、魔王であると推測している」
「…魔王?」
「いかにも、昔の話ではこうなったのは魔族のせいであると考えられている」
「…魔王を倒せば平和を取り戻せると?」
ルカの言葉にゼノンは頷く。
「それに魔王討伐にはもう手を打っている。君は私の言う通りにしてもらえればいい」
ゼノンは少し口を歪ませながら大広間を出ていった。
(…魔王を倒す手立て?)
ルカは王の言葉を理解することが出来ず大広間の中でしばらくの間突っ立っていた。
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