テスト週間の練習

「今日からテスト週間なので練習は普段の練習より1時間短い1時半になります。練習時間が短い分練習に集中してください。」

「「「はい!」」」


テスト週間が始まり、部活時間が短くなった。しかし練習メニューは変わらない。いつものように準備体操をし、いつものように練習をする。唯一違う点が在るとすれば山中先生のやる気が普段より高いことだ。


「そこはそうじゃないって前も言ったじゃろうが!」

「違う!もっと動かせ!…そうそう。それを忘れんのど!」


心なしか普段の練習よりも怒鳴り声が多く、大きく聞こえる。


「山中先生今日いつもより怒ってない?」

「部活時間が普通より短いけえやろ。」

「あー、確かに。」


山中先生の怒鳴り声がよく聞こえ、いつもより弓道場はピリピリしていた。しかしいつもより練習時間が短いのであっという間に練習は終わった。


「今日の練習はこれでおわるがレギュラーは各自で練習をし、他の者も早く家に帰って勉強をしてください。」

「「「はい!」」」

「今日の練習を終わります。礼。」

「「「ありがとうございました。」」」


山中先生はこの後すぐに職員室に帰って行った。テスト週間はいつも練習が終わるとすぐに職員室へ行くのだ。それを知っている部員は山中先生がいなくなるとすぐにだらけ始める。


「はー、疲れた。山中先生怒りすぎやろ。」

「ほんまにね。でも時間短いけしょうがないやろ。」

「まー、そうやけどさー。」


分かってはいるが納得はしていない、部員はそのような反応だった。レギュラーは弓道場の中でごろごろしたり練習をしたりし、サボり組はサッカーをしたり遊ぶ計画を立てながら帰っていたりした。練習は早く終わるが、その分勉強するわけではない。少しはいるかもしれないがそれはごく少数派だ。


「今日勉強する?」

「俺はせんで。」

「それより前にする人おるん?」

「テスト週間って何?ゲーム週間との間違えやろ。」


それに似た会話がいろんな場所から聞こえてくる。最後のやつはかなりの少数派だが、本当に彼にとってはそうなのだ。そんなことを言う人に限って頭がいいのでたちが悪い。テスト日に近づくにつれ段々と勉強する人は増えるのだが、彼にとってのテスト週間とは部活時間が短くなるだけのちょっとしたイベントでしかなかった。

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