動物

 夏休みの午前の練習が終わった後の昼休憩中、みんなはいつも通りゲームをしながらゆっくり昼ご飯を食べていたり、昼ご飯を早めに食べて練習をしていたりしていると、山に生える草がガサガサと揺れたのを何人かの人が見た。

「今あそこ揺れんかった?」

「うん、見た。」

「え、どこ?」


 多くの部員が興味を示し、そこに注目しはじめる。しばらくするとまたガサガサと草が揺れた。

「ほんまや。」

「野良猫でもおるんじゃない?」 

好き勝手にその動物を想像していると、その動物が姿を現した。それは子供のイノシシだった。

「かわいい!」

「初めて見た!」

そのような感想があちこちであがる。子供のイノシシはすぐに横を向き、山沿いを歩き始める。 


 それを見て弓道部のサボり組を含めたメンバーの多くが急いで外へ出て子供のイノシシをおいかけようとする。山と弓道場の隣の小さな広場に階段があり、すぐに上ることができるのだ。サボり組は食べていた途中の弁当や途中のゲームを放り出して追いかけ始める、しかし練習していたレギュラーは弓などを放り投げることはできないので、弓と矢を持ったまま追いかけ始めたり、中に残る人に預けたりして追いかけたりしていた。


山の中を多くの人が走り回っていた。彼の目的はイノシシを見つけることである。

「イノシシどこ行った?」

「こっちにおったよ!」

「弓が走るのに邪魔!」

「俺ら何しに来たんやろ?」

「イノシシ狩りみたいやね。」

イノシシを集団で、さらに武器を持った人が中にいるとなるとイノシシ狩りのように見えてしまうのも無理もないだろう。イノシシの子供も怖くて必死に逃げている。

「「「待てーーー!」」」

ここまで来ると本当に狩りに見えてしまう。イノシシの親が見たら攻撃してきそうだが、そんなことは彼らは一切考えていなかった。

たまたまイノシシの逃げる先にいた人がイノシシの背中に触ることに成功した。

「やった!触れた。」

「まじで?いいなー。」


 その後、わいわい言いながら彼らは弓道場に戻った。

「お帰り。」

「ただいま-。」

「どうやった?」

「イノシシの背中に触れたで-。」

「おお、よかったやん。」


その後普段通りに午後の練習が始まり、普段通りに終わった。その日からイノシシを学校

で 見たことはなくなった。

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