第101話 出会い(3)
僕はこの世界で一人、孤独に、だけではない。
これといった目標もなく。只先祖代々続けてきた商いだから。我が一族、当家の只一人のあるじだからと言って、慣れない仕事……。
そう、我が家一族が倭寇、海賊行為、水軍を生活の糧としておこなっていた行為をやめてから始めた生活の糧である商い……。
そう、仲買業……。
まあ、今で言う問屋業と販売業……。
それと? 製造業かな?
僕はね、その商いを、先日他界をした父の代わり。後を継いでやることに対して、余りの乗り気がないと、いうか?
僕は全くと言って良い程やる気を持てない。感じることができないのだ。
だから僕よりも向いていると言うか? 大変にやる気もあり、いつもニコニコと女神さまのように微笑みながら。今や少なくなった家の会社の人達を、僕の従妹である亜紀ちゃんが引っ張って──。我が一族が代々続けてきた商いを、社員一同で盛り上げながら存続をすればいいと思う。と、いうか?
僕は大変に情けなく汚い男だから、家の会社を存続させる義務、責任と言う奴を亜紀ちゃんにすべて渡して逃げた。己が死と言う楽な選択を選んで、嫌な、嫌いなことから逃走──楽へと逃げた結末がこれだから致し方ない。ないのだ。
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