an Isolated Bazooka.
田村らさ
15章
ぼくはひとでなしだった。
この物語にハッピーエンドはない。赦しを与えるはずのものが許しを乞い、裁かれるべきものが裁き、口をつぐむべきものが口を開いた。その報いだ。
ぼくはひとでなしだった。ぼくは役割を果たせなかった。
ベージュ色の天井をながめながらぼくは回想する。できれば、このできごとを物語るのはこの一度だけにさせてほしい。物語は終わったかもしれないが、人生はつづく。であるからには、ぼくはここにとどまっているわけにはいかない。この話が終わり次第、ぼくはこの部屋を出て、あの子を探しにいかなくてはならない。
ぼくはひとでなしだった。ぼくは役割を果たせなかった。ぼくには薬が効かなかった。
いいだろうか。きっとあなたがぼくの話を正しく理解できるのは一度きり――それも、一瞬のことだろう。ほかの多くの大切なものと同じように、くりかえしはきかない。それでもよければ、はじめよう。
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