騒がしい歓迎会(3)

ひとまずルンちゃんを家から近くの森に移動してもらった。そしてアルモのことをランとヨーンに詳しく説明する。二人ともとりあえず頭を縦に振ったが、どこかまだ壁のようなものを感じる。

「ふぁ~、そっか、ラミージュさんの一番弟子なんだ」

「そうなのだ。アタシはついにあのラミージュ・ランジェ様に認めてもらった正式な魔女。魔法も頭脳も完璧よ!」

「まだ認めてないだろ、ラミージュは」

「空気読みなさいよ!」とプンプン怒るアルモだが、非常に眠そうなヨーンを見ると、何だが可哀想でつい話しを割って入ってしまう。アルモに捕まったヨーンは災難だったな。


「皆さん、そろそろ夕食の支度をしますね」

そういって白いエプロンを付けたランが階段を降りて台所に向かう。その際アルモと目が合い、睨み合いが発生する。

食事の準備が出来た後も、長机という塀越しに睨み合いは続いてた。



そして、この葬式みたいな夕食に戻る。

「ルンちゃんに関しては何とか理解してもらったけど、ランのことはな……」

「ランランね、アルモっちがトウマに蹴ったことを謝るまで許さないって」

いつの間にかアルモのニックネームが決まってることに驚きつつ、ヨーンの気配りに感謝した。

「ていうか、あの二人中々の頑固者だよね。こっちも大変だよ」

「……まあな」

口では肯定したが、アルモは来てそうそう慣れないものを見て、おっかなびっくりな状況なのだろう、また、ランも人間には慣れてないというのもあって距離を空けている可能性もある。

二人とも慣れてないというのもそっくりなのだ。

「アルモっちってこれからここで暮らすでしょ、この空気のままは気まずいよ。これじゃあきっと寝れないよ」

いや、寝れるかどうかは今関係なくない?

といっても、確かにアルモは新しい家族みたいなものだ。なのに初日からこの空気は明らかにまずい。さてどうしたものかと考えていると。

「アルモ様、でしたね」

突然ランがアルモに話しかけたのだ。一体どういうことだ? と頭を抱えていると。

「あなたは、ラミージュ様にお会いして、何か感じましたか?」

何やら不思議な質問、アルモだけでなく俺もヨーンもきょとんとする。

アルモは驚いた後、視線を反らしながらぶつぶつと答える。

「凄いオーラを感じた、流石ラミージュ様だと思った」

数秒の静寂、ランは「そうですか」と言った後食器を持って台所に消える。アルモも逃げ隠れるように2階の部屋へと向かった。


「トウマ~、何とかしてよ」

腕を組んで色々と思考を巡らせる。何かないか、こういう時だからこそ出来ることって……。

「……そうだ」

「ん?」

ヨーンは寝ぼけた表情で首を傾げた。だが俺は、声を大にして言いたい。

「ヨーン、歓迎会をやろう」

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