アンドロイド・ネル

釈履行

第1話 少女との出会い

‪2046年9月4日、その少女はやってきた。‬


私の鼓膜にセットされた心地よいメロディーが鳴った。

待ちに待ったアンドロイドが自宅の屋上に到着した模様だ。


「ICE社です。ご注文のアンドロイドをお届けに上がりました」

少女に取り付けられた人型ロボット輸送ドローンのスピーカーから自動音声が聞こえてくる。


「ICE社」とは、International Creative Ecology社の略称で、アンドロイドの世界最大のシェアを持つ会社である。


ちなみに少女の価格は1000万世界通貨ドル。


この時代の貨幣は世界共通で、すでに紙幣やコインは存在せず、すべて電子マネーになっている。


製品番号はNGHMNR0904、この無機質な少女に、私は


「ネル」と名づけた。



「先生、よろしくね。大切にしてね」


「大切にするよ。でも、なぜ、先生と呼ぶんだい?」


「だって、先生のデータは全部入ってるんだもの」


「先生はやめてほしいな」


「じゃあ、なんて呼べばいいの?」


「そうだな。コウさんって呼んでもらおうかな」


「わかった。コウさんね」


「ありがとう。ネル」


いきなり「先生」と呼ばれた私の名前は「釈幸理(しゃく・こうり)、K大学でアンドロイドと人間の共存について研究し授業を持つ教授である。








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