何も考えずにファンタジー

やう

第1話 何も考えずにスタートな感じです

俺の名前は淀川 ユウ。

いたって普通の生活を送っていたのだが、突如ファンタジー世界に飛ばされてしまっていた。

俺が起きたのはよくあるような寝室でも木陰でもなかった。

というか、そもそも真っ暗で何も見えない。

ガタガタと音と振動が聞こえることから何かの荷台に乗っているのかもしれないな。

しかし、真っ暗である。

近くには袋だろうか?ざらざらとした感触のものがあり、中にも何か入っていそうだった。

とりあえず、ここは慎重になっておいた方が良いのかもしれない。

まあ、賊やらに捕まってしまっていたとかならどうしようもないかもしれないが。

少しすると、どうやら俺が乗っている乗り物が止まったようで外からは話し声が聞こえてきた。

「……え、毎度ありがとうございますね!これでよろしいでしょうか?」

「はい、大丈夫ですよ。いつもいつもお疲れ様です」

最初のは活気のいい男性の声。

後のは物静かな女性の声であった。

とりあえず、盗賊に捕まっているわけではなさそうなので安心した。

というか、多分この荷台は何か商人の商売道具が入っている荷台なのだろう。


とりあえず、外の状況を確認しようと荷台のカーテンであろう布を少しめくると、一気に明るい光が入り込んだ。

「まぶしっ」

俺はとっさにカーテンから手を放した。

ずっと真っ暗なところにいたせいで光がとてもまぶしく感じる。

それでも、目を慣らすためにカーテンをゆっくり開けると、偶然にも向こうからもカーテンを開けていたらしい。

カーテンが一気にあき、太陽の光がなだれ込んだ。

「目が、目が……」

某大佐のような言葉を発しながら俺は目を抑えた。

「大丈夫かい!?」

その商人も何かに気付いたらしく、心配してもらいました……。


三十秒もすれば目は光に慣れ、徐々に周りが見えるようになってきた。

が、そもそも建物も道も元いた世界とはかけ離れているために、まだ夢を見ている感じだったが。

「というか君、いつから荷台に忍び込んでいたんだ?」

商人からしてみれば至極当然の反応である。というか、むしろ最初にそれを聞かなかったのが不思議なレベル。

しかし、もちろんさっきここに飛ばされてきた俺は、理由もわからないため

「分かんないんです。記憶がなくて……」

と言う他なかった。

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