忘却勇者

本田 陸

プロローグ

 早く倒れて楽になりたい。

だけど、後ろには大切な『   』がいるからそれを許さない。今まで抱いてこなかった気持ちが体中を駆け巡り、震える足に、血だらけの手に力がこもる。一歩踏み出し、拳を構える。それだけで全身に痛みが走った。

 頬をひきつらせて、圧倒的で完全超悪な親玉に向かって宣言した。


「これで、終わりにしようぜ」



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