第77話 手紙

ティーエへ


 返事が遅くなってすまない。あれから、いろいろあって手紙を出すのが遅くなってしまったわい。

 それにしも、大発見があったんじゃ。この手紙を書いているが、いてもたってもいられんわい。ワシはこれから再び北の大陸へと向かうぞ。もう準備は万全じゃ。後は出港するだけじゃ。人員も今回は20人も集めたんじゃ。ワシ達が4人で縦断した事で、北の大陸へ向かおうと思うものが増えたようじゃ。野望に燃えるもの。修行に励むもの。いろいろじゃ。そして、向こうで妖精族エルフにも協力を求めようと思っておる。


 なに、心配する事はない。砂漠と山脈をこえるだけじゃ。前の道のりの半分くらいじゃわい。気をつけるべきは、砂漠の魔獣と、山脈のワイバーンくらいじゃ。砂漠の魔獣はあの岩山あたりを避ければ何とかなるじゃろう。ワイバーンも気配を消して行動すれば、遭遇する事もあるまい。


 そして何より、海洋調査団の話では、今は海の魔獣が激減しているらしく北の大陸に渡るには絶好のチャンスなんじゃ。


 ワシは世界でもまだ少ししか発見しておらんオリハルコンを採掘しに行くんじゃ。


 ワシ達がプラチナを発見した近くに、オリハルコンの眠るダンジョンがあったんじゃ。量はすこしかもしれんが、ワシはそれを探しあてるぞ。もしかすると、近くにオリハルコンの鉱脈があるやもしれんて。なに、見つからなかったとしてもプラチナの眠る場所は覚えておるんじゃ。赤字になることはあるまい。

ワシはオリハルコンを採掘して、それで武器を作り、念願の神級鍛冶師を目指すのじゃ。


 次会う時は1年か2年後か、その時は一緒に酒でも飲み明かそうぞ。


P.S.

 そうそう、言っておった少年は悪魔ではないらしいぞ。手配書が出回っていたそうじゃが、何かの手違いだったらしい。ワシの友人も世話になったと言うておった。ワシは出かけておって直接会えんかったが、ワシの友人が言っておるんじゃ間違いあるまい。


 少女と一緒に北の大陸からやって来て、誤解から狙われておったらしいんじゃ。同情するわい。お主もそそっかしいから、その誤った情報を信じてしまったんじゃないか。

そういうわけじゃ、お主も魔導士学園の先生を頑張れよ。


                                       ガラフより


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