BETWEEN 異世界 TO 異世界!
ながやん
第1話「BETWEEN?」
生まれてからの16年、毎日暮らしている
だが、おかしいのだ。
そのことを遊馬は、物心ついた時から知っていた。
この部屋は、
奇妙な衣を
部屋いっぱいの巨大な
一度だけ、遊馬はその『なにか』を呼び止めたことがある。
遊馬の声に振り返ったのは、
『おや、私が
髪と肌とが真っ白な、赤い瞳の女性だった。彼女は
遊馬がいつも通り過ぎる者達のことを
『そうかい、視えてもわからないということだねえ? それじゃあ……いつか知りにおいで。そういうことは全部、自分の目で見知って、耳で聞き分けるんだよ』
そう言って、その人は遊馬に奇妙なものをくれた。
それは――
※
「……ん、んっー! ふぅ、またあの日の夢か」
目が覚めて初めて、自分が夢を見ていたと気付く。
遊馬は机に宿題を広げて、どうやら
当然だ。
ここは遊馬の自室であり寝室なのだから。
「でも、あの日のことは夢じゃない。それだけは確かなんだけど」
遊馬は首にかけた細いチェーンを
シャツの中から、あの日
恐らく、指輪だ。
謎の女がくれた、読めない文字が
それは確かに実在し、その後もなにも変わらない。
あれから何度も、『なにか』はこの部屋を通過していった。
「まあ、結局はなにも……僕だって別に困ってるわけじゃないし。つまり、この部屋は色々と『なにか』が通り抜ける場所なんだろうな」
奇妙に
さして
そう、驚くに値しない。
いつものことだ。
毎度のことで『なにか』が通り過ぎる時、この指輪は光るのだ。
そして、押し入れの戸がガタガタと鳴り出した。
奥で光を
現れた姿にも、遊馬は動じなかった。
「やったわ、ついに
押入れから出てきたのは、自分と同じ年頃の少女だ。
それも、美少女である。
長く伸ばした
顔と手以外に
キョロキョロと周囲に目を輝かせる彼女に、遊馬はぼんやりと語りかけた。
「えっと、君も『なにか』ですよね。ちょっと待ってれば反対側の、その、門? 開くと思いますよ」
「え? なに、どゆこと? ここ、異世界よね?」
「君が異世界から来たなら、ここもこの先も異世界だよね」
「……ちょっと待って! この先? それより、あんた! その指輪っ!」
「ああ、これ」
少女は遊馬を
自然と顔と顔とが近くて、遊馬の
「これはなに?」
「指輪、だと、思いますけど」
「これをどこで?」
「ここで」
「ここ? ここって」
「僕の部屋で。不思議な女の人から」
「……そう、あんたも会ったのね! あの女に」
押入れとは反対側の壁で、ガタゴトと本棚が鳴り出す。
並んだ
遊馬が思っていた通り、渦が現れた。
少女が門と呼んでいた、出口だ。
この部屋はいつも、入口と出口の間に
「……もう一つ、門が」
「どうぞ。君も通り抜けて行くんでしょう? この先へ」
「どゆこと? ちょっと、説明しなさいよ。まず、あの女は何者? ここはなに? ……あの門の先は?」
「えっと、それは……自分の目で見知って、耳で聞き分けるべきじゃないかな」
「あの女と同じ言葉……いいわ、あんたも来なさいっ!」
「へ? あ、あっ、ちょっと! 君っ!」
「あたしはナルリよ!
――ナルリ・ラグネリア。
それが少女の名。
そして、遊馬が初めて知る『なにか』の正体だ。
彼女に腕を
こうして遊馬は、見ず知らずの異世界へと吸い込まれていったのだった。
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