第2話 伝説の剣『マスターソード』

「ついに旅立ちの時ですね」


 神殿の外に出た途端、女神様は厄介払いできて嬉しいみたいに言った。


「女神様? 別に僕は今すぐ元の世界に帰ってもいいんですけど」


 すると、女神様がに言い訳を始めたのだが。


「何を言うです勇者! 貴方にも世界の命運がかかっているですよ!」


 次の瞬間には正装らしい服が、私服っぽい装いになっていた。

 少しも誠意が伝わらない。


「そんな恰好で言われても、説得力が蟻魔戦ありませんね」


 僕が拗ねた声を出す中、女神様は突如として湧いて出た巨大なアリの魔物と戦っていた。


「誰のせいだと思ってるです勇者!」


 その後、女神様は手にした杖を構え、何やら呪文を唱えて大木おおきの塊を出した!

 筈なのだが。

 直後、何故かアリの頭上に巨大な木の皮が出現する。


 変だな。女神様が出した攻撃魔法的なあれはどこに消えたんだ?


「女神様! 一体どうしたんですか!」

「ちょっと! 黙ってて!」


 僕に怒鳴ると女神様は再び呪文を唱え直し


「あとっ! 二度と戦いの解説をしないでです!」


 ……以下略の後、女神様は勝った。


「ひどい目にあったです……」

「大丈夫ですか? 芽神様」

 女神様の頭上に若葉が芽吹く。


「女神です。ご心配どうも。そして、私が貴方に期待してる何よりの証として、今から伝説の剣を授けましょう」

「伝説の剣!」


 テンションの上がる僕に、女神様は一本の剣をし出した。

 次の瞬間!


「うわっ!」


 何故か女神様が剣で僕を思い切り突こうとした。

 急な攻撃を回避した後、僕は叫ぶ!


「何をするんですか女神様! やっぱり僕のことをっ」

「ああもう! 違います違います! ていうか、何もかも貴方のせいなんです!」


 目に涙を浮かべた女神様が落ち着いた後、僕は剣を受け取った。


「それが伝説の剣、マスターソードです」


 それは美しく銀に光る刀身を持つ、見事な装飾の柄に赤い宝玉がはまった剣だった。

 しかし。


「これが……マスタード!」


「……」

「……」

 美しかった剣は、一瞬で洋からしに成り下がった。


「これ元に戻りませんよ女神様?」

「仕方ないので街で何か新しい武器を買っていくです」


 僕は軍資金を手に入れた。

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