4-11

 いっぱい生命力とでもいうのか口いっぱいに溜め込んだものを、今度は少女に口づけをして流し込んでいく。

 するとどうだ。さっきまで血の気の失せた姿をしていたのが、血色良い肌に戻っていった。

 生命力を流し込むたび、胸を穿うがっていた傷口も塞がっていく。

 まるで時間が巻き戻るかのように少女の姿は何事もない。

 むしろ栄養が行き届いているのか全体的にふっくらとしていた。


「これで、この少女は助かりました。そしてあれ、どうされますか?」

「もう興は冷めたんだが、あのままという訳にもいかない。ただ自分の道具を使うほどの余力はもうないから。兄君の道具を使うことにする」

「兄妹の仲がお良ろしいことで。畏まりました。ユダのゆりかごですね」

 ベスが自分の影に手をかざすと、下から大掛かりな木製の装置が現れた。

「ご準備整いました」

「なら実行しろ。あの男には死よりも恐ろしい苦痛を味あわせてやる」

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