第3話 誓いの指輪と揺れる振り子

3-1

 ーー結婚とは、

 魂の牢獄。と、誰が言ったのだろうか。



 ❇︎



 夜更けまで、試作品を製作していた。

 机に備え付けられた小さな灯りを頼りに、細かい部品を取り付けていく。

 隣には、大きめのベッドがひとつ。

 そこには、数時間前に訪れたルニアが規則正しい寝息を立てている。

 その頬にはうっすらと涙の跡が見てとれた。



 ーー2時間ほど前。


 小休止がてら、部屋にある小さな窓を開けて、夜空を眺める。

 月の光は厚い雲に覆われて、鈍い光が降り注いでいる。


 『コンコン』


 扉をノックする音に「ご主人様、夜分に申し訳ありません」

 と、ルニアの声がした。

 男はゆっくりと扉を開ける。


 半分開けて外の様子を窺うと、寝巻きに着替えて枕を胸に抱えるルニアがいた。

(寝付けないのだろうか)

 男は製作途中の試作品のことが脳裏によぎったが、一旦、頭の隅に追いやる。

 そして扉を開けてルニアを招き入れた。


 部屋にひとつしかない、机と一対になった椅子にルニアを座らせる。

 男はベッドに腰掛けて、改めてルニアを見た。





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