花が散る季節

rape blossoms

第1話

―突然ですが、これからは君の好きなように生きてください!


私のことなんか忘れて。


好きな人ができた、なんて嘘だよ(笑)


え、もしかして気付いてた!?


あちゃー。笑


なら、別れる必要もなかったかな笑


でもね、絶対に君だけには知られたくなかったの。


私はもうすぐ死ぬ、ってことをさ。


いや、もし今、これを君が読んでるなら、私はもうこの世には存在してないのかもなぁ〜…


あ、でも泣いたりしないでよね!笑


そんなことされたら、死んでも死にきれないから!


って、死んでるか!笑


なんてジョークはここら辺で終わりにして…。


今日もいい天気。


外はあったかくて気持ちよさそうだね。


あー、きれいなお花も見に行きたいな〜…


ねぇ、君は覚えてるかな。


窓の外を見るとね、まだ桃の花がめいっぱいに花びらを広げてるの。


だから、私、なんだかもう少し生きられそうな気がしてきたよ。


花びらの最後の一枚が散る瞬間まで私は君のことを忘れない。


今まで本当にありがとう。


ばいばい。



―これが君が僕宛てに遺した最後の手紙だ。

あぁ、もちろん覚えている。

忘れることは絶対に出来ない。

僕達が初めて会ったのは、桃の花が今にも散りそうで、桜の花の蕾が今にも開きそうな、そんな季節だった。




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