黒鼠

MiYA

第1話

カリッカリカリカリッ


旨イナ …


腹ガ減ッテ…


腹ガ減ッテ…


喰ッテモ、喰ッテモ、


喰イタリナイ…


モット、モット、喰ワセロ …


カリカリカリカリ…



それは昔、中世ヨーロッパでは黒死病と呼ばれていた。

主に鼠が咬んだ食べ物を、そうとは気づかず口にしてしまった場合 や、鼠に直接カリッと咬まれてしまうとペスト菌が体内に侵入し、細胞を破壊するという…

けれど、本当は鼠による被害は、全体の1/3程度であり、ノミやシラミの被害の方が圧倒的に多かった …

衛生環境の改善・医学の進歩、一見すると、近代文明では起こり得ない事のように感じてしまうけれど、果たして本当にそうなのだろうか …


現代でもペスト菌による被害は起こっている。


本当さ、嘘なんかじゃ無いんだ!


あっ、今君、笑ったね …


自分には、そんなの関係無いって顔をして、自分の身にそんな事が起こる訳がないって、そう思って



君、今 … 笑っていたよね …



黒鼠クロネズミサトルと言う転校生は、名前も変わっているけれど、目つきも悪くて、とても話し掛けたくなるようなタイプじゃないと、クラスの皆は話していたけれど、僕はそんな事は思わないから、何で皆が彼を黒鼠君を嫌うのか、良く解らなかった。


僕の名前は海馬 真、小学4年生 、人が大好きで、誰とでも直ぐに仲良くなれるのが僕の自慢さ。


その日の放課後、僕は早速、黒鼠君に話しかけたんだ。


「ねぇ、黒鼠君、一緒に帰ろう」


黒鼠君はキッと僕を見て


「お前、学級委員か?」


僕は首を横に振り


「初めまして、同じクラスの海馬 真です、宜しくね」


黒鼠君は僕の顔をジロジロ見て


「何でヘラヘラ笑ってる、俺は1人で帰るから」


そうか、黒鼠君はきっと何か用事でもあるのかな、僕はそう思って


「そっか、じゃ、また明日ね」


黒鼠君はじぃ~っと僕を見て


「ヘラヘラ笑って、変な奴」


ぷいっと僕に背を向けて帰って行ってしまった。


黒鼠君には断られたけれど、僕も家に帰らなくちゃと、真は玄関の手前にある下駄箱へ向かった。






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