マッチ売りの少女だってHAPPY ENDで終わりたい

いんびじ

第1話 一本背負いは出会いの始まり

 ――その出会いは、一本背負いから始まった。


 俺の名前は森林もりばやし真木まき、高校三年生だ。

 今日の授業も無事終了。

 先生達と別れの挨拶をしながら、学校の門を出る。

 今日はいつも一緒に帰る人が、放課後は進路相談に行かなければいけないらしい。

 たまには一人のんびり帰ろう、寄り道は無しで。


 人通り少ない一本道。

 しばらく歩いていると、視界の端に変な赤いのがいる。

 何かこう……赤い丸々としたやつ。

 得意技の前髪バリアーを駆使し、それとなく観察する。

 ……どうやら赤いフードを被った金髪の女の子みたいだ。

 外国人だろうか、それにしても今時珍しい格好をしている。

「マッチはいりませんか?」

 すると、女の子が声をかけてきた。

 なるほど、マッチ売りの少女の演劇の練習か何かなのだろう、精が出るなあ。

 よし、ここはこの子のためにも俺も街の住民役を演じきって無視してあげよう!

 視線を自宅の方向へまっすぐに戻し、お口チャックする。

 まるで初めから女の子なんていなかった、かのように少女に無視をかます。

 うーん、我ながら完璧な無視だと自分に百点の花丸をあげざるを得ない。

 この子もきっと感心したに違いな――

「無視するなコラーッ!?」

 少女は俺の前に素早く潜り込み、胸倉を掴んで俺に背中を向けて静止した。

 俺はそのまま少女の背中に体重を預ける形となる。


 ここまで約二秒。

 次の瞬間、俺の視界にはそれはそれは綺麗な青空が広がっゴファ!!

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