殺人研究さーくる

ぴこ龍

第1話 素手による殺人①琵琶高校殺人研究さーくる

僕、夏原海翔が琵琶高校に入学してはや3ヶ月が経とうとしている。都会でも田舎でもない場所にあるどこにでもある進学校、、、

そんな普通な学校で唯一普通では無い点がある。僕が所属している文学部、こいつは文学部とは名ばかりの学校からは活動未許可のイカれたサークル「殺人研究さーくる」通称SKS、、、ツッコミどころ満載だが部員達はさも当たり前の様に殺人について議論を交わしている。


【人を殺すという行為】ただその一点のみに焦点を当てて。


僕が自分の意思に背きこの部に入ってしまったのは幼馴染みの冬野サクラの所為なのだがその話はまたおいおい、、、なにやら扉一枚隔てた活動拠点、第2図書整理室がざわめいているので僕は意を決してドアを開いた。


「遅かったわね夏原君。今日は原点に帰って道具を全く使わない殺人について議論する事になったわ。知ってる?一昨日20そこそこの男が自分の彼女を首を絞めて殺しちゃった事件、、、男は殺す気は無かったと言っていたらしいけれど本当に殺す気は無かったのかしら?席に着きなさい。議論を始めましょう。」


相変わらず無機質な方だなこの方は。部長の王嬢 楓さん、、、何故このようなサークルを立ち上げてしまったのだろう?疑問は尽きないが逆らっても仕方ないので僕はパイプ椅子に腰掛ける。


「殺人に置いて最もメジャーな物が素手による殺人ですね。殺すと思った瞬間に何も所持していなければ素手で殺すしかありませんから。それに素手での殺人は先日の事件のようにカッとなってしまいつい殺してしまったといえば罪が軽減される場合がある。」


「確かに、逆にナイフ等の刃物を所持していれば明確な殺意があったと考えられるし日本での大半の殺人事件が突発的な理由で起こる点を捉えれば素手による殺人が最もメジャーと言えますね。素手での殺人が最も殺意の有無を立証し難いですし」


部員の一文字&光、こいつら本当議論になると急に饒舌になるよな、、、と思惑を巡らせていると夏原氏はどう考える?と一文字が俺に振ってきやがった。


「どうなんだろうな?カッとなって殺してしまうと言っても、カッとなった瞬間には確かに殺意はあったと考えるべきだと思う。後に冷静になってから殺す気は無かったのに、、、って言われても納得は出来ないな。殺す気があるから死んでしまったんだよ」


「 絞殺、殴殺、溺殺も素手による殺人の手法と呼べるかな?まぁ素手による殺人で最多なのは前者2つかな?」


さらりと会話に交じる冬野。黒上ロングの清楚系女子、、、普通にしてりゃ可愛いのになんでこんな可愛くない会話してんだろ、、、本当コイツ何でここに入部しようと思ったんだろう?何か理由あんのか?単純に推理小説が好きなのかな?


こんな感じで殺人研究さーくるは無意味な討論をひたすらと繰り返している。食い違いや意見が割れる事もしばしばあり、そんな時は翌日に持ち越して続きをやる時もしばしば、、、こんな高校生活でこの先俺やっていけんのかな?今からでも退部を願い出た方がいいんではなかろうか、、、?とか思考している間も討論は次第に熱を帯びてくる。ながくなりそうなのでまた次回、、、

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