第22話 初潮て知ってる?
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「かーやっと解放されたぜ!」
渡辺先生から解放された俺と春香はさっそく帰路に着いていた。同じく解放された山本さんとメスゴリラは教科書などを受け取っていなかったので既に別れている。
「まだ午前中だってのにえれー疲れたな」
「誰のせいだと思ってるの? ホント、私なんて新入早々、学校の先生と追いかけっこする羽目になったんだから」
春香が俺のボヤキに愚痴を吐く。
「悪かったよ。でもどうして俺の場所がわかったんだ? それにさっさと帰ればよかったのに」
俺が春香の愚痴に答えると春香が「なにそれー!」と言って俺の脇下を軽く小突いてくる。
「人がせっかく待ってて上げたのになかなか来ないから8組の人を探して聞いたんだよ」
春香は「すごく大変だったんだから」とため息を吐く。春香のことだから俺を探している間に男に声をかけられただろう。それに今日は入学式。クラスの人に俺の名前を言っても誰も覚えていなかったかもしれない。
「そしたら保健室に運ばれたって言うんだもん。心配したんだから」
「心配したにしては俺の分の教科書も持ってきてくれたな。いや、ありがたいんだけどさ」
俺がそう言うと春香がそうそうと言わんばかりに言葉を返してくる。
「夏樹の居場所を教えてくれた男の子が『ついでに持っていきなよ』て言って渡してきたの断るのもおかしいそのまま受けとったの」
どうやら春香が尋ねた人物は相当な変態のようだ。そいつは多分、女性が重たい荷物を持っているのを視姦して楽しむクソ野郎に違いない。俺が春香を視姦されたことに激怒していると春香が言葉を続ける。
「そしていざ保健室に着いてみれば夏樹が鼻血を流しながら正座させられてるんだもの。私、てっきりそういうプレイを新入早々始めちゃったのかと思って」
春香はまた、今度は更に大きくため息を吐く。
「それはお前の勘違いだろ。流石に俺も流血沙汰になるようなプレイをやるほど変態じゃねえよ」
俺が春香にそう言い返すと春香が負けじと言い返してくる。
「嘘言わないでよ! 昔、『春香、初潮て知ってる? 女の子は第二次成長期が終わる頃に初潮てのが来るんだけど男にはそれが来ないんだ。俺それがどんなものなのか知りたいから見せてくれよ』て言って私の初めてを見たじゃない!」
春香がすごく怒りながら言ってきた。俺はそう言えばそんな事もあったなと春香の記憶力に感心する。
「そうそう、あんときは初潮がどのタイミングで来るかわからなくてずっと一緒にいたもんな」
「そうそう、それでトイレに行くのもお風呂に入るのも一緒で……、ってそんな昔話に花を咲かせるんじゃなくて!」
春香はノリツッコミをしつつ文句を言ってくる。俺はそれを馴れたように相槌をしつつ聞き流しながら下校した。
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