第19話 突然の突風。風は最高のスパイス
「……」
先生はパンツを無言で受け取る。彼女の表情から何か釈然としないという気持ちが読み取れた。
渡辺先生は受け取ったパンツを見つめ微動だにしない。まあ無理もない。先ほどまで俺が握りしめており匂いも嗅いでやったのだ。彼女の頭の中ではこれをどう処理するかで目まぐるしく脳が働いていることだろう。
仕方ない。ここは鈍感系主人公を装いながら先生に助け舟を送ることにする。
「やれやれ先生、仕方ないなぁ。穿くのが恥ずかしいなら僕が穿かせてあげますよ」
俺が手をワシャワシャさせながら近づくと渡辺先生は近くにあったバインダーで俺の頭を叩いてベッドの方へ向い、カーテンを閉めた。
(なんて女だ!! こちらが気を使ってやったのに本気で叩くなんて!! 親にもバインダーで叩かれたことないのに!!)
俺はズキズキと痛む頭を押さえながら教師の体罰に疑念を浮かべていると俺の隣で頬っぺたをプクゥと膨らませている春香に気づく。
「どうした春香? そんなに頬っぺた膨らませて?」
俺はそう言って春香の頬っぺたを両手で押しつぶすように挟むと、その頬っぺたの柔らかさにつられ「ホレホレ~」とまるで猫の肉球を触るかの如く春香の頬を愛撫する。
「ちょっと、もう、やめてよ……くすぐったい」
春香は満更でもなさそうだが俺の手を掴むとその行為をやめさせる。春香はなぜか少し落ち込んだような表情を見せため息を吐く。(なんだコイツ生理か? 情緒不安定だな、おい!)
そんなことをしているとカーテンの向こうで先生がパンツを穿き始めた。カーテンは先生の膝当たりまでしかなくそれより下は丸見えのため両足をパンツに通しているのがよく見える。袖を通すようにするすると穿かれていくパンツを見ているとどうしようもないエロスを感じてしまう。
「あ、穿くんだ……」
俺に以外に先生の動向に気づいた者がそう呟く。まあ、そう思われても仕方ないかと思いつつ先生の動向を見守る。パンツの位置が膝を通過して太ももの辺りに移動した。カーテンで仕切られた太ももより上はエロ本の袋とじのようで、もしこのカーテンを捲る事が出来るなら1,000円ぐらい出してやってもいい。膝当たりにパンツがあったとき、どこかの漫画家が描いた女子トイレのマークを思い浮かべたのは多分ここにいる人の中で俺一人だけだろう。
パンツは太ももを通過しようやくあるべき場所へ行きつく。渡辺先生の様子はカーテン越しのシルエットでよくわかった。先生のスカートはスーツのためパンツを穿き切る際に大きく捲り上がっているのがカーテン越しにわかる。
皆に静観されながらパンツを穿き終わった渡辺先生だが、しかし先生の前にまたしても悲劇が起こる。保健室の内の奥の窓は開いており、そこから突然、激しい風が流れ込んでくる。その風は縦横無尽に保健室内を駆け巡り、あら不思議と仕切られていたカーテンを噴き上げる。
「「「キャッ!!」」」
複数の女性の声が保健室内で飛び交う。俺の左右でスカートを押さえる彼女たちであったが俺は彼女たちに目もくれず、目の前にある光景を一点に見つめる。
そこにはスカートが捲り上がり、安産型のお尻からすらりと伸びた足と先ほどまで俺が握りしめていたパンツが綺麗に収まっていた。
「ちょっと! もう、なんなのいったい!?」
先生は突然の風にスカートを押さえようとするが捲り上がったスカートを旨く戻すことができず、振り返り俺と目が合うと、顔を真っ赤に染めどうしようもないパンツを手で押さえながらその場にしゃがみ込む。
風はその後30秒ほど続き。渡辺先生はその間ずっとしゃがみ込んだままビクビクと震えていた。俺はその様子をただじっと見続ける。先生、あんた最高だよ。
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