ある竜殴りエージェントの記録
Mr.K
プロローグ
あるB級エージェントの報告インタビュー
――マイクチェック、OK。エージェント。まずは貴方のお名前を。
「D.P.C.、パニッシュチーム所属。Bクラスエージェント。コードネーム、『スラッガー』。エージェントナンバーは、■■■■」
――よろしく。コードネームで呼んでも?
「構わない」
――OK、スラッガー。早速ですが、先日のタンタリウスにおける竜殴り任務の報告を。
「あー……ホントに俺が報告しなきゃ駄目? もうオタクら、上司やら同僚やらから聞いてるんじゃ」
――それでも、です。今は訳は話しませんが。誠実な報告をお願い致します。
「……
――それは、人類の範疇として、ですか? それともD.P.C.として、ですか?
「そりゃ、後者に決まってる。クソトカゲ共はただでさえ人類にとって脅威だが、俺達が相手してるのはただのクソトカゲじゃない。で、そんな奴らを率先して相手にするのは、エージェントなら当然の事だ。わかるだろ? 広報担当だとしても、同じD.P.C.の職員なら」
――ええ。そうですね。
「だからまぁ、別に俺は仲間達が今持て囃してるような英雄だとか、ましてやAクラスやSクラスのエージェントなんて遠く及ばないような、ケツの青い若造ってやつなんだって事を理解して欲しい。ただ俺は、必死に仕事をやって、たまたま死なずに成功させたってだけで……」
――つまり何が言いたいのです?
「……確かに俺は、この組織には『クソトカゲ共を殴る為』に参加したけど、良い奴がいるって事も知ってる。知能のある奴はいいクソトカゲだ。だからこう、俺の功績次第で、そういう良い奴も殴りに行くような任務に就かされるのはちょっとって思って……えぇと……」
――なるほど。貴方は相当なお人好しか、もしくは物好きのようですね。
「あー、そう、それだ! 物好き! クソトカゲにはいい思い出も悪い思い出もあるってか、そのいい思い出が多分物好きの部分なんだと思う! うん! ……今のって、駄目だったりします?」
――えらく勢い良く肯定されましたが……問題はありませんよ。寧ろ、そういう動機で入ったエージェントも少なくありませんから。まぁ、最終的には貴方の言うように『クソトカゲを殴りたい』という欲求に行きつくのですが。
「え、いるんだ」
――ええ。貴方を除けば四名ほど。……ここだけの話。その内一名はAクラスエージェントですが、先日プライベートで死亡が確認されました。
「……は?」
――その方は傍から見ても分かる通り、『クソトカゲ』にご執心でしてね。というか、話によれば性的な目で見ていた節すらあるとの事で。
「え、何その人怖い」
――死因も、個人的に飼ってた『クソトカゲ』と仲良くスキンシップをしていたところ、『クソトカゲ』に襲われたようで。発見時には下半身を露出した状態で……。
「い、いやいい! それより報告しないと!」
――おや、よろしいのですか? 個人的な観点から推測するに、貴方には素質があると思うのですが。
「一体何の素質なんだよ! ……はぁ。とりあえず始めても?」
――失礼しました。どうぞ。
「……タンタリウス時刻にて、■■月■■日。あの日の任務に参加したのは、パニッシュチーム・α。Cクラスが十数名。俺を含めたBクラスが四名。Aクラスが一名の編成だった……」
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