第20話

【モノクロの杉本健作氏の遺影】


子や孫たちが、仏壇の前に山となって座っており、その無数の頭に隠れて、

杉本健作氏の顔はどんな表情をしているのか見えない。


杉本健作氏の手紙は、最後にこう締めくくられている。


「最後に改めて、私の血を継ぐ者たちへ乞う。


 このフィルム1945を現像後、この手紙とともに内閣総理大臣に

 届けてくれるように。


 そして、この写真がこの国のアルバムに、永遠に焼き付けられることを、

 強く願う。


 1945年 8月15日 杉本健作」



なお、杉本健作氏の遺体は、故人の生前からの強い希望で、医療の発展の礎のために

献体されている。

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フィルム1945 真生麻稀哉(シンノウマキヤ) @shinnknow5

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