第3話

【モノクロ写真・1枚目】


子どもが二人で、ボールを蹴って遊んでいる。


二人の後ろには、白くて大きな城のようないかめしい建物が写っている。


二人の笑いあう顔、うちとけた空気から、おそらく二人の年齢はあまり離れていないのだろうと推察される。


けれど、二人の着ているものにそれぞれ特徴がある。


一人は、ひどく体が小さくて、服、というより有体にいえばボロ布としか言いようのないものをまとっている。

顔を拡大して見てみると、わずかに卑屈さがにじむ表情と栄養というものが完全にそぎ落とされ骨皮の浮いた相貌から、中国人の孤児だとわかる。

ボールを蹴るその子の頭から、ぱらぱらと散っているのは毛虱(けじらみ)だ。


もう一人は、軍服こそ着ていないものの、着ているランニングシャツの白さとそこから伸びる腕の筋肉に、日本人の少年兵だということがわかる。


ボールを拡大してみると、いかにも柔らかそうな革で、粗い縫い目が見える。

この中には綿、あるいは古着でも詰まっているのだろうか。

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