第5話 マスク

それからあとのはっきりとした記憶はない。


ただ、気付いたら2階の親父の部屋にいた。

部屋は散らかっていた。手には「友明ともあき」と書かれたアルバムがしっかりと握られて、俺の頬から水の流れた跡がアルバムまで続いていた。


こうはしてはいられない。

そう、思ったが何をすればいいのか分からなかった。とにかく、何かをしなければならないと思った。“ラブウイルス”は《感染性》の病気らしい。

だったら、感染うつらないようにしなければならない。

そういえば、母さんが溜めてたマスクがどっかにあったはずだ。

だけど、タンス、押し入れ、テレビの下…

どこにも見つからない。

そうだ、あそこに…!

俺は夢中で階段を下りた。

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