第71話 楽しい楽しいパーティー

 ぶひー。

 ぴぎー。


 豚となってしまったセクシー・ド・ヨンゲーンは、これから更なる苦痛をあびるハメになった。


「さあさあ、皆の衆、我がクリスタ―ル宮殿の大広間にて、ネコーコ・ハルミ姫と結婚式を挙げるぞ。披露宴の準備も万端だな」


「スラスラ!」

「スラスラ!」


 可愛い顔して残酷なスマイルスライムがにやにやしていやがった。

 スライムは、楽隊もできるらしい。


 ♪ タンタカタンタンタンタンタン……!

 ♪ パパラパパラパー……!


 サスケヒゲゾー伯爵の指揮だ。

 超ご機嫌な感じ。


「さあ、祝いの鐘を鳴らすのだ!」


「スラスラ!」

「スラスラ!」


 リンゴーンリンゴーン……。

 

 ネコーコ・ハルミ姫は、サスケヒゲゾー伯爵の腕に抱かれて、大広間の少し高くなっている段を登らされた。

 姫は、浮かない顔をしている。

 当たり前だな。

 サスケヒゲゾー伯爵の妻になどなりたくもないであろう。


「さあ、約束の愛のベーゼだ」


 伯爵が何度か迫ってもネコーコ・ハルミ姫は、腕の中で回避している。

 それ程に嫌なのだな。


「ギャー!」

「ふーっ」


 よくは見えなかったが、噛みついたようだ。


「スラスラ!」

「スラスラ!」


 程なくして、よく働くスマイルスライムのお蔭で、豚の丸焼きは行われた。


 ぴぴぴ、ぴごぎー!


 あっちー!

 あっちっちっちー!


 殺す気か。

 いや、これで死ぬのか、セクシー・ド・ヨンゲーンは。


「ふーにゃん」


 姫がこちらを見た。


 これで、お別れなのですか?

 ネコーコ・ハルミ姫とはもう会えないのですか?

 そ、そんな馬鹿な話はないぞ。

 いつから愛していると思っているのだ。

 伯爵など、愛があるのか?

 ただの毛並みが美しいもののコレクションだろう。


「あちーぜ、おらおらー!」


 バーン!


「我が名は、セクシー・ド・ヨンゲーン!」


「なにお! 豚めが。焼かれていればよいものを」


「ネコーコ・ハルミ姫は、渡さない! ファンタジアーヌカップはもういい。ここで、決闘を申し込む。チョキの手袋だが、受け取れ!」


 バシッと投げつけた。


 >進め<


 □ いざ! 決闘!

   第73話へ。

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