21~25

「ねぇねぇ、君の名前、何て言うの?」


 少女がベットに両手を付き、顔を俺に寄せ笑顔で名前を聞いてくる。


 え、これ教えて大丈夫な感じ? 教えたら憑りつかれるとか呪われるとかないよね?


 あまり言いたくないんだが…


 でも、ここが本当に彼女の部屋だとしたら、名乗らないのは失礼だよな。


 どういう経緯かは知らないけど、ベットまで使わせてもらってたわけだし…


 うーん、教えないでこのままってのも空気悪くなりそうだ。てか確実になるな。


 幽霊の少女は、ニコニコしながら俺が名前を言うのを待っている。


 まぁ、いっか、憑りつかれたら憑りつかれたらでその時に考えよ。


 少し迷ったが、この場の空気を優先して名前を教える事にした。


「司、俺の名前は青葉司って言うんだよ」


「ツカサ? アオバ… ツカサ?」


「そうだよ、君の名前は?」


「変わった名前だね。ツカサ」


そう言うと、少女はベットについていた両手を離し、右手を胸に当て笑顔で、


「僕の名前はティア、ティア・ヴァンス。これからよろしくね。ツカサ」


 と、答えた。


「よ、よろしく…」


 名前的に日本人じゃないよな。最も外見からして日本人じゃないんだけど。


 どこの国の子なんだろう? 随分と流暢に日本語を話すんだけど、ハーフ何だろうか?


 それとも生まれが日本?


 というか、これからよろしくってどういう意味だ?


 まさか、俺に憑りつくって意味じゃないよな?


「ねぇ、ツカサ」


「ん?」


「ツカサって、もしかして男の子?」


 え? 何を言ってるんだこの子は?


 男でしょ! どこからどう見ても男でしょうよ!


 普通に分かりそうなもんなんだが… 俺ってそんな中性的な顔してたっけ?


 もしかして日本人は性別が分かりにくく見えるのかな?


「うん… 男だよ。でも男の子ではないかな。歳だって25だし」


「25歳なんだ。ツカサは大人の男の人なんだね」


「見えないかな? 自分じゃ年相応だと思ってたんだけど」


 ティアはにっこりと笑いながら


「全然見えないよ」


 と、答えた。


 おかしいな、「男の子」って言われるほど俺って童顔だったかな? 


 そう不思議に思っていると、ティアが俺に背を向け壁に向かって歩き出した。


 そして足を止めると、俺の方を向いて手招きで俺を呼んだ。


「こっちに来て」


 ん? そっちに何があるんだ?


 言われた通りにティアの場所まで行こうと思い、ベットから降りて立とうとすると。


 ドテッ!


 両足が床につくと同時に、俺は膝から崩れる様に豪快にこけてしまった。


 痛っ! な、なんだ!? これはどういう事だ!?


 足に力が入らない…


 両足に上手く力が入らず、立つ事が出来なかった。


 そんな俺を見かねてか、ティアが俺の所まで来て手を差し伸べてくれた


「大丈夫? ほら、掴まって」


 差し伸べてくれたティアの手に掴まり何とか立ち上がる。


 なんだこれ!? どうしてこんなに足に力が入らないんだ!? 


 まるで自分の体じゃないみたいだ…


 かなりのショックを受けた。


 信じられない位自分の体が弱っている事に、少女の手を借りなければ、まともに立つ事すら出来ないとは…


 長い間昏睡状態だったのか?


 もしそうなら体の衰えにも納得がいくんだが…


「ありがとう…」


一先ず手を貸してくれたティアにお礼を言う。


 しかしその時、


「え!?」


 お礼を言うと同時に、俺はティアを前にして強烈な違和感に襲われた。 

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転生プリンセス 異世界で目を覚ましたらお姫様でした。 サガ @kga1655

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