第51話 怪盗シロ vs 名探偵ねぇちゃん
「ただいまぁー」
「おかえりー」
帰ってきた! にいちゃん帰ってきた!
うれしいんだけど、最近にいちゃんはすぐにお風呂にいってしまう。
自分の体のにおいを水で流しちゃうなんて、もったいない。
ねええちゃんは台所で何やらやっている。ごはんの準備だろう。
2人の様子を観察する。おれに注意が向いていないことを確認して、おれは行動をかいしする。
足音をたてずに、’だついじょ’ に行く。物音一つ、たてちゃだめなんだ。
すんすんすん。
すんすんすん。
服が入った洗濯かごの中に鼻を突っ込んで、目的のブツを探し当てる。おれは鼻がきくんだ。ほしいものは ’ひゃっぱつひゃくちゅう’ なのだ。
む、これだ。狙いを定めて一気に引き抜く!
あった! くつした!
ふふふんふふふん。
この大きさ、そしてかみ心地。投げてもいいし、丸めてもいい。どれをとってもちょうどいい。
この家のくつしたは、おれのものだ!
「シロさん?」
はっ。……この声は、まさか。
「何してるの? シロ」
やばい。
「おかしいと思ってたんだよねぇ。あるはずのない床に、にいちゃんの靴下が片方だけ落ちてるなんて」
くそっ。くつしたに夢中で足音に気づかなかった。
「さらにその靴下のかかと、なぜか穴があいてたんだよねぇ」
どきっ。そ、それは、その……。
「犯人は……お前だ! シロ! 今加えているその靴下が、何よりの証拠だ!」
あううううううう。
「もー、にいちゃんの靴下なんてはやく離しなさい! はい、すぐこっち来て」
うううう。
ねえちゃ、ちょ、ちょっと、ごめ、まって、ごめん。
いやぁぁぁぁぁごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!
「ねえちゃんどうした?」
「シロがにいちゃんの靴下ばっかり狙うんだよ。まったくもう」
「え? 俺の足、くさい……?」
このあとめちゃくちゃ口の中をふかれた。
にいちゃんはなぜか凹んでた。
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