デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビ!

「あとはあの死神もどきだけね」


「忘れるな。あいつの文字石もじいしは俺がいただく」


 残ったネクロマンサー文字化もじばけに対峙する3人のモジシャン。


 するとまた、文字化もじばけが地面に手をつける。また過去の文字化もじばけを復活させる気だ。


 しかし、地面から現れたのは、文字化もじばけではなかった。


 人間。復活したのは一人の女性だった。


 いや人間というには程遠い。

 ボサボサの髪に、焼け爛れた皮膚、ところどころ剥き出しになった骨。


 人間と言うよりゾンビを言う方が適切だった。


 こんなゾンビを出現させてどういうつもりだろう。


 同じ人間なら攻撃できないとでも思ったのだろうか。

 確かに敵が綺麗な人間の容姿だったら少しは躊躇したかもしれない。

 だが相手は醜いゾンビ、抵抗は無い。


 しかし、そう思っているのは乃々のの勇助ゆうすけだけだった。


「っ!!」


 佐々木仁ささきじんだけは、何故か動揺していた。

 イヅチを持つ彼の手が震えている。呼吸も荒い。何をそんなに驚いているのだろうか。


 仁の様子がおかしいことに気付く乃々のの


 しかし勇助ゆうすけは気付いていない。

 じんの精神状態などお構い無しに、勇助ゆうすけはキーメイスを振りかざす。


「だい、いだ」


 不気味な声ではあるが、まるで本当の人間のように苦痛の叫びを上げる女ゾンビ。


「なんだか、やりにくいな。……さっさと倒すに限るぜ!」


 ――テンサク、フィニッシュ!!――


 勇助ゆうすけはキーメイスにパワーを溜める。


「っ! よせ!!」


 ――DESTROY ERASER――


 勇助ゆうすけがカタカナを振りかざそうとしたその時だった。


 じんがイヅチにエネルギーを溜め、勇助ゆうすけの攻撃を防御した。女ゾンビを庇ったのだ。


 ぶつかり合う2つの力。爆発する力と力。


 爆発に巻き込まれ、勇助ゆうすけじんは吹き飛ぶ。


「痛ぇ……おい佐々木ささき! どういうつもりだ!!」


 勇助ゆうすけが怒鳴る。

 それもそのはずだ、文字化もじばけを倒すまでは協力するという約束だったはず、それをじんが破ったのだ、怒っても仕方ない。


「……」


 じんは何も言わない。

 謝りもしなければ、ゾンビを庇った理由も話さない。


「そうか、お前がやる気だっていうんなら、交渉決裂だ。行くぞ、乃々のの!」

「う、うん」


 勇助ゆうすけと共に武器を構える乃々のの


 その時だった。


『待ってください!』


 通信で草垣天音くさがきあまね勇助ゆうすけ乃々ののに待つように言う。


「なんだよ、草垣くさがきさん! まさかまた別の文字化もじばけが出たって言うんじゃないだろうな」


『そうではありません。2人ともよく聞いてください。あなた達の目の前にいる女性、その人は……』


 次の瞬間、草垣くさがきは驚きの一言を言い放った。


佐々木奈央ささきなおさんです。間違いありません』


 佐々木奈央ささきなお。その名前に乃々のの勇助ゆうすけは聞き覚えがあった。


 そう。佐々木仁ささきじんの妹、奈央なお

 かつてじんと一緒に戦ったという、乃々のの勇助ゆうすけの先輩にあたる人物だ。


 合点がいく勇助ゆうすけ乃々のの

 じんは妹を守るために、勇助ゆうすけの攻撃を相殺したのだ。


 兄が妹を守る、至極当然のことだ。


 だが……。


佐々木ささき! 惑わされるな、そいつはお前の妹の奈央なおさんじゃない!」


 そう、それは人間とは程遠い、ゾンビ。じんの妹とは言えない。


 だがそんなこと、じんには関係無かった。


「俺はこの時をずっと待っていた。妹を生き返らせるため、俺は石を探した。『生』、『蘇』、何でもいい、奈央なおを蘇らせる力がある石なら何だって良かった。そして、今日、ついに俺は見つけた。あの文字化もじばけこそ、俺の望みを叶える石を持つ文字化もじばけだ!」


「どら、かし」


 不気味な声を発するゾンビ。

 こんな姿でも、仁にとってはかけがえのない妹、佐々木奈央ささきなおなのだ。


「よく見ろそいつはゾンビだ! 会ったことはないけど……お前の妹さんはそんな醜い姿じゃないはずだろう!!」


「確かに完璧とは言えない。……だが不完全とはいえ、奈央なおは蘇った! もしかしたらゾンビの状態から人間に戻す石もあるかもしれない! 邪魔をする者は誰だろうが許さない!!」


 イヅチを振りかざすじん。それにキーメイスで対抗する勇助ゆうすけ


乃々のの! じんは俺が食い止める。文字化もじばけの方を頼む。本体を倒せば、奈央なおさんも消えるはずだ!


 強く頷き、文字化もじばけに向かって走る乃々のの


 しかし乃々ののの行動を邪魔するものがいた。


「どら、し」


 奈央なお佐々木奈央ささきなおのゾンビが、乃々ののの前に立ちはだかる。


奈央なお、さん……」


 奈央なおがゾンビ独特の不気味な動きをしながら、乃々ののに攻撃してくる。


 勇助ゆうすけじん乃々ののとゾンビが戦っている間、ネクロマンサー文字化もじばけは、何もしなかった。ただ4人の戦いを傍観していた。


 どうやらこの文字化もじばけは自ら戦うタイプではなく、復活させた手下に戦わせるのが特徴のようだ。


「いば、か」


 奈央なおが不気味な声を発しながら攻撃してくる。

 乃々ののはそれをノガタナの峰で防御する。


 普通のゾンビなら、もしかしたら躊躇い無く乃々は攻撃に転じられたかもしれない。


「ば、かし」


 だが、このゾンビは佐々木仁ささきじんの妹であり、乃々ののの先輩。心のどこかで引っかかるものが乃々ののにはあった。


「らい、し」


 どうにかして、奈央なおの妨害を掻い潜り、文字化もじばけ本体を倒さなければ、そう考える乃々のの


「どら、かし」


 不気味な声を発し続ける奈央なおゾンビ。


 それは何の意味も持たない、言葉というよりただの雑音だった。少なくとも、勇助ゆうすけじんはそう思っていた。


「ば、かし」


「……?」


 だが乃々ののは違った。

 何かを感じた。

 佐々木奈央ささきなおが発する言葉の羅列に、何か意味があるような気がしていた。


「どら、かし」


「っ、もしかして……!」


 奈央なおが発する言葉の意味、彼女が伝えたいことに気付く乃々なお


 その時だった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 登場人物情報が更新されました


佐倉乃々さくらのの

 19歳。女性

 ミスコンで銅賞を貰えるほどの容姿を持つ。

 彼氏持ち。

 赤いモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『乃』


 奈央なおゾンビの言葉に、何か気付いた模様

 

 好きなライダーは、仮面ライダー電王(超クライマックスフォーム)



江角勇助えすみゆうすけ

 19歳。男性

 乃々ののの彼氏。

 青もしくはオーシャンブルーのモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『幾』と『流』

  

 仁と戦闘中。


 好きなライダーは、仮面ライダーディケイド(通常形態)。



漢一了かんかずあき

 40代。男性

 ワードカンパニー社長。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダー2号。



草垣天音くさがきあまね

 18歳。女性

 ワードカンパニーの秘書。


 乃々のの勇助ゆうすけに、ゾンビの正体が佐々木奈央ささきなおであることを伝える。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーレーザー(バイクゲーマーLv.2)



十文字平じゅうもんじたいら

 40代。男性

 文字もじるドライバーの開発者。

 

 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーデューク(レモンエナジーアームズ)


 

佐々木仁ささきじん

 29歳。男性。

 黒もしくは灰色のモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『伊』と『止』


 文字石もじいしを集めていたのは、死んだ妹を生き返らせるためだった。



佐々木奈央ささきなお

 享年20歳。女性

 佐々木仁ささきじんの妹。


 プロト文字もじるドライバーの欠陥により、死亡

 文字化けの能力により、ゾンビとして復活した。

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