第5章 新たなる力

日常パートにも意味がある

 8月16日。


 あの日から佐々木仁ささきじんは姿を見せず、文字化もじばけの出現頻度も少し落ちていた。


 それにより乃々のの勇助ゆうすけに時間の余裕ができ、彼らはあることを実行した。


 場所はあの喫茶店。

 2人は久しぶりのデートと洒落込んでいた。


 勇助ゆうすけはコーヒー、乃々ののはデラックスパフェの味を楽しんでいた。前とは違って、今回は勇助ゆうすけの奢りではなく、それぞれ自腹で。


 2人はいつも一緒に戦っているが、こういう普通のデートは本当に久々だった。


「ねえ、勇助ゆうすけ。アンタ最近太ったんじゃないの?」


「久々のデートだってのに、酷いこと言うなぁ」


「だってさー。なぁに、このお腹? たっぷたぷじゃない、まるで水風船じゃん」


 勇助の横腹を掴む乃々のの。16話のフィリップほどではないが、彼女の言ったように、勇助ゆうすけは太っていた。


「いやー、ははは。実は減った体重を戻そうと餅を食べまくってたら、つい食べすぎちまって」


「まったくもう……」


 他愛の無い話で盛り上がる乃々のの勇助ゆうすけ


 子供の頃の話、昨日見たテレビの話、次はいつデートをしようかなんて話。2人のお気に入りの映画、『鬼ヶ島の戦艦』の話など。


 本当に他愛の無い話ばかり、文字石もじいし文字化もじばけに関する話は一切しなかった。


 この場所が一般人向けというのもあったが、せっかくのデートに血生臭い話を2人はしたくなかった。


「ねえ、勇助ゆうすけは知っている? 今流行りの都市伝説」


「あれか? 浜辺で海坊主が出るってやつ」


「そっちじゃなくて、死んだ人が蘇るって方」


 次の2人の話題は、最近SNSで騒がれている都市伝説に関してだ。


 町で死んだはずの人間を見たという、なんともありがちな伝説だった。

 先代の駄菓子屋のおばあちゃん、交通事故で死んだ親子、寿命で亡くなったペット。


 それらを見たという者が結構いる。

 もちろんネットへの書き込みだから信憑性は薄い。


 しかし伝説が本当か嘘かなど、2人にとってはどうでもいいこと。彼らはただ話をしたかっただけだ。

 

 楽しくお喋りをする乃々のの勇助ゆうすけ。他人が見れば、どこからどう見ても普通のカップルだ。誰も2人が町を守るヒーロー、モジシャンだなんて思わないだろう。


 だが、楽しい時間は長くは続かない、あっという間に過ぎてしまう。


 店内に緊急怪人速報が流れる。文字化もじばけが現れたのだ。


「っ、乃々のの!」


「うん、行こう! 勇助ゆうすけ


 2人は店を出て現場へ向かった。すっかりヒーローの顔が板についてきた乃々ののであった。



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 登場人物情報が更新されました


佐倉乃々さくらのの

 19歳。女性

 ミスコンで銅賞を貰えるほどの容姿を持つ。

 彼氏持ち。

 赤いモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『乃』


 お気に入りの映画は、鬼ヶ島の戦艦。


 好きなライダーは、仮面ライダー電王(超クライマックスフォーム)



江角勇助えすみゆうすけ

 19歳。男性

 乃々ののの彼氏。

 青もしくはオーシャンブルーのモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『幾』と『流』

  

 最近、太った。


 好きなライダーは、仮面ライダーディケイド(通常形態)。



漢一了かんかずあき

 40代。男性

 ワードカンパニー社長。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダー2号。



草垣天音くさがきあまね

 18歳。女性

 ワードカンパニーの秘書。


 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーレーザー(バイクゲーマーLv.2)



十文字平じゅうもんじたいら

 40代。男性

 文字もじるドライバーの開発者。

 

 好きな仮面ライダーは、仮面ライダーデューク(レモンエナジーアームズ)


 

佐々木仁ささきじん

 29歳。男性。

 黒もしくは灰色のモジシャンに変身する。

 文字石もじいしは『伊』と『止』



佐々木奈央ささきなお

 享年20歳。女性

 佐々木仁ささきじんの妹。


 プロト文字もじるドライバーの欠陥により、死亡

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