No.6

「それでどこまでいったっけ」


 気を取り直して再集結。

 パーティ名は保留にしてストーンの機能を確認する。


「今はフレンドが終わったとこ、次は便利機能ね」


 そういって四人はストーンの画面を開くが、やはり武士が一番早い。


「便利機能にはいくつかフィルターが付いているけど、今のところ使えるのはマップ、カメラ、サーチ、調査、掲示板、メール、ポイントショップだね」


「カメラはスマホがあれば大丈夫だと思うんだけどな」

「あれ落としたら使えないからじゃない?」

「なるほど。それでサーチは分かるけど、調査って何だ?」


 サーチとは探すという意味で、ゲームにおいては目的の品がどこにあるのかを調べてくれる意味を含むことが多い。


「調査はカメラを当てればその説明とかがこのストーンの画面に出てくるみたいだよ」


「そのためのカメラか……」


 不自然なカメラの使い道がすぐに判明した。

 めでたしめでたし。


「ポイントショップもすごいね、ア○ゾンみたいに調べればいろいろ出てくるよ。あっ、食料なんかも置いてある」


「ポイントで買い物をしろってことかしら?」

「てかそれならお金とかいらなくね」

「うーんまだポイントないし使えないから、よく分からないなあ」


「でもこの世界の住民はお金しか使えないわけだろ、だったら使い分けは可能なんじゃないかな」


 武士が鋭い点を突く。実際に分ける意味は分からないが、見たところポイントでお金とも交換できるみたいなので、二重の意味での使い分けが必要なのかも知れない。


「まあ何にしろ今はそこまで考える必要は無いかな」


 残るはオンライン情報とゲーム説明書だが、オンライン情報はポイントや戦績をランキングにしただけで、それについてのワールド情報が見れるだけである。


 またゲーム説明書にはこの世界についてのことが書かれており、この世界に来る前のこのゲームについてのパンフレットと同じことが書かれているが、その中でも追加されたようにいくつか重要なことが書かれている。


「とりあえず軽く抜き出して説明しておくよ」


 そう言って武士は長い文章の中から情報を選んで抜き取る。


・転生者以外とのゲームは行うごとに難易度を選べますが、高くなるほどリスクも大きいです。また、一部難易度が固定されていたり、最初に決めたモードによって出来るかなどの差が現れます。


・この世界では普通に暮らすことも出来ますが、ゲーム以外でのポイントの稼ぎ方は存在しません。


・モードやゲームに応じてポイントが変わり、難易度も変わります。


・ゲームではありますがこれは人生です。老死は防げません。


・取引は基本的にお金で行えますが、転生者同士ならばポイントで行うことも出来ます。


・ポイントは様々なものと交換できますが、累計獲得総数には影響しません。


・ゲーム以外で人を傷つけることはありませんが、モンスターに関しては装備を使用することで倒すことが可能です。


・この世界に住む人々はモブではなく、ちゃんとした生きている人間です。ランキングには影響しませんが、彼らもまたゲームを行います。




 追記、難易度選択可能なゲームについて

 ・easy ルールはシンプルにされたものが多い。相手も弱い。

 ・nomal ルールは普通。特に仕様はあまり変更無し。

 ・hard ルールは普通。相手が強くなり仕様も若干変更します。

 ・expert ハンデを背負う。相手が強く、仕様も大きく変更することがある。


 ・転生者同士は難易度を選べますが、ポイントはeasyまたはnomal仕様となります。


「と、こんな感じです」


「うん、お腹いっぱいだよ」


「でも、おかげで大体はこの世界のルールについてつかめたわ」


 簡単に言えば、一部のゲームを除いて転生者達は、新たなゲームのたびに難易度を選びながら対戦をし、そのポイントを得ながらうまく生活をして行けという話である。


 後は暮らしているうちに分かっていくはずなので、最初はあまり分からなくても気にしないで良いだろう。

 ゲームだって大体慣れから出来るようになるものだ。


「まあものは試しだね、なんかやってみる?」


「そうね、お腹も空いたし何かポイントをためるがてらお試しバトルといきましょ」


「おっ、何にする?」


「とはいっても手持ちはトランプかチェスかリバーシのどれかだけどね」


 携帯は現状何もゲームが出来ないので、省いておく。いや出来ないわけではないが、最初から相場がよく分かってない中でお金を使うのは、あまりにも軽率で早計な話であると言うだけだ。


 しかしこの三つだけと絞られても、このうちチェスとリバーシは時間がかかるので、確認するために最初にやるとしてはすこし面倒である。

 故に四人の意見はすぐに固まった。


「トランプがいいわね」

「そうだね、僕もそれが良いと思うよ」

「はーい、私も」


「よし、それなら最も簡単で早いブラックジャックでいいだろ」


 四人の意見が一致したことから、数あるトランプのゲームの中から仁が、真っ先に提案を出した。だが続くように小奈美。


「ババ抜きでいいんじゃないの?」

「ブラックジャックだ」

「ばーばーぬーきー」


 また小奈美と仁の二人が言い争いを始める。

 全く呆れ果てたものである。


「おいおい、君たち。いちいち争っていては勝負が出来ないよ」

「そうね、ここはブラックジャックにしましょう。」

「えーなんでー」


 仁はよっしゃーと大声を上げて注目されるが、それほど喜ぶことでもないだろう。

 そして、よしよしと小奈美をなだめながら幸江は続ける。


「ババ抜きだと四人でやるから勝ち負けに応じてもどのくらいポイントが入るのかわかりにくいじゃない。だから二人ずつで争った方が分かりやすいでしょ?」


「なるほど、それは良い案だ。僕も幸江の意見に乗るよ」


「うー、ゴリラまでー」

「ゴリラ言うなし」

「キング○ング、ドンキーコ○グ、エ○オス君、ゴン○ゃん」


「止めるんだ、しかも最後のはどれだけマイナーな奴なんだよ」


 武士が叫び散らしたところで、幸江が止めに入りその場は収まる。

 恥ずかしいったらありゃしないが、彼らに羞恥を言うものは存在しないのだろうか。


 仕方なしにため息を吐きながら幸江は一人トランプを取り出すのだった。

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