ぼくのどくしょかんそうぶん
しょもぺ
第1話 『ぼくのどくしょかんそうぶん』
『ぼくのどくしょかんそうぶん』
1年1組 市井はじめ
ぼくが、はじめに、この本のかんそうぶんを書こうと思ったことを話します。
それは、まださくらがさく前のころ、冬のじんじゃのうらがわで、雨とどろによごれた大人むけの本をさがしていたことからはじまりました。
なんで、そんなことをしていたかと言うと、べつにいみはありません。
だって、ほんとうにいみがないんだからしかたないのです。
それから、きせつはかわってあつい夏休みとあいなりました。
そうすっと、しゅくだいがいっぱい出て、たいへんになりました。
ここで、なぞかけをひとつ。
なつやすみのしゅくだいとかけまして、あつい夏とときます。そのこころは?
どちらも、いっぱいかきます。(汗)
そんなこんなで、どくしょかんそうぶんの本はどうなったかというと、まったくみつかりません。
お母さんが、「そんなの何でもいいからてきとうに書きなさい!」 とおこるので、
ぼくは、「それじゃあ本を書いた人にしつれいだよ!」 というと、だまってしまいました。
どくしょかんそうぶんというしゅくだいは、ほとんどの人が、あらすじを見てそれをまるうつしして、最後にチョロっとかんそうを入れるという、ゆるしがたいこういだと思います。
だって、それは、「どくしょかんそうぶん」ではなく、「どくしょのあらすじ」になってしまいます。
しょうらい大人になってから、クレヨンしんちゃんとか、ちびまるこちゃんのように、こくみんてきお茶のまにあいされる、ちょうきほうそうのアニメのきゃくほんを書きたいボクにとってはゆるせません。でも、こんかいだけはあらすじを書いてみようと心がゆらいでいるので、ゆるして下さい。
この文しょうを書いていて、そろそろ、どくしょかんそうぶんのほんすじに行かないといけないのに、まだ、どの本を選んだかはあかされていません。これをよんだ先生も、さすがにイラッときてしまったかな?
でも先生ゆるしてください。先生だって、なつやすみには、おくさんとこどもと、どこかへでかけたり、おさけをのんだり、しているでしょ。そうそう、ぼくのお父さんとお母さんも、よくおさけをのんでいたりします。
よっぱらって大ごえでけんかしたりもします。そして、ときには、おなじおふとんでねて、なぜかお母さんは、くるしそうな声を出したりします。ちゅうちゅうすっているような音もきこえますが、あれはなんなのでしょうか? そんなとき、ぼくは、エアコンとせんぷうきの音で、きこえないふりをしてねていますが。
そういう、げせわな話しはおいておきます。
さて。ようやく、どくしょかんそうぶんの本がきまりかけたころ、ぼくのまわりで、とんでもないことがおこりました。まず、お父さんが、パチンコとかのギャンブルでお金をたくさんつかってまけてしまい、ふてくされてひるまからおさけをいっぱいのむようになりました。すると、お母さんは、そんなお父さんにあいそがつきたらしく、わかいおとこの人とどこかへ行ってしまいました。いっしゅうかんほどたちますが、まだかえってきません。
お父さんは、お酒のビンといっしょにねころがっているばかりで、れいぞうこのしょくパンもなくなりました。
これは、どくしょかんそうぶんを書いているばあいではないことに、いまやっときづきました。
いのちをたもつためには、しょくりょうと水はひつようです。
水はすいどうからでてきますが、しょくパンは、れいぞうこから出てきません。
ぼくは、のりをかじったり、こむぎこに水をまぜてのんでいました。それでも、おなかはたまりません。
あれこれかんがえて、いえにある、ふるい本をうることを、おもいつきました。
インターネットでしらべると、本をうるときには、おやのどういというものがほしいみたいだけど、たまに、お店の人がめんどくさくてしないばあいがあるとしりました。なので、大きなお店ではなく、こじんでやっているグレーそうな店をえらんで本をうりました。けっこう、かんたんにいきました。500円になりました。
ラッキーとおもって、ぼくは、うまいぼうを50本かおうとしたけど、お店のひとが、しょうひぜいがたりないと言ったので、46本しかかえませんでした。でも、うまいぼうをかじっていると、まぁいいかと思いました。
ちなみに、うまいぼうのしゅるいはたくさんありましたが、あえて、たこやき味をおおくしました。だって、コストとカロリーがいちばん高くておとくだからです。これもインターネットでしらべました。
それから、また、いっしゅうかんたちました。
なつやすみもそろそろおわりです。どくしょかんそうぶんは、ぜんぜん書けていません。というか、よむ本さえきまっていません。
ゆびのさきがビリビリとしてきました。あたまがボーっとしてきます。エアコンがつかないので、とてもへやがあついです。水ののみすぎで、うんこが水みたいになりました。うまいぼうのビニールを、なんどもなんどもなめました。ほんのすこしだけ、しょっぱいあじがします。お父さんは、ずっとねむったままでぜんぜんうごきません。もしかしたら、いきをしていないかもしれません。
そういえば、となりのへやではお母さんもねています。
なんでいるのかわかりません。そうだ、おもいだしました。
よるにお母さんはかえってきて、お父さんとケンカしていました。それで、お母さんは、お父さんをビンでたたいたみたいです。ぼくは、びっくりして、だいどころからほうちょうをもってきました。それを見たお母さんはまたおこりましたが、お母さんのこうげきをヒラリとかわすと、ほうちょうをおなかにさしました。
すこしビクビクとしていましたが、すぐにねむってしまいました。
お父さんとお母さんがいえにいてくれて、ぼくはちょっぴりうれしいです。
あ、どくしょかんそうぶんを書くの、わすれていました。
先生ごめんなさい。 おわり
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