バレンタインデーキッスとか都市伝説
バレンタインデーですね。
あっはい。じゃあバレンタインデーの思い出語りまーす(投げやり)。
最近では友チョコなどで、チョコを渡したり貰ったりといったハードルは下がっているとは思います。
とはいえ、やはり男女間でのチョコのやりとりは胸にキュンキュンくるものがあります。甘酸っぺえ。
まあ誰にだって何かしら心に残る瞬間はあるものです。
恥ずかしいけれど、語りましょう。
男女の機敏など何も知らぬ、幼くも愚かであることが許されていた少年時代のエピソードを、今回も全力で語ります。
特にないです。
いやいや流石に同じオチはないでしょ(反省)。
何事も進歩は必要です。このネタの天丼は最早笑えないどころか、私の人生の薄さを物語ってしまいます。
薄いのは頭髪だけで十分だというのに(唐突な自虐)。
今回は本当に思い出を語りましょう。
そう、あれは確か中学2年生の時……(回想スタート)。
E藤はその日、焦りを感じていた。
友人のDが幼馴染の女の子と仲良くしていた時、「私のDくんを取らないでよ!」と愛のバクダンを落とされたからかもしれない。
もしくは、友人のIくんが彼女と影でいちゃついていたからかもしれない。
様々な思いはあるにせよ、その日は2月14日。世間的にはバレンタインデー。恋の甘さをチョコに乗せて、ちょっぴり大胆になってもいい魔法の時間なのです。
ですがこのE藤という男、特に魔法にかかってなかった。
マシュマロに乗って旅するようなふわふわな思い出など皆無であった。
(辛い死にたい)ともあれ、それでも期待してしまう。
なんたって、今日はバレンタインデーなのだから!
普段は秘めたる想いを、とろけるチョコに溶かしちゃえ。形はいびつで味も普通でも、込めた思いは無限大なのです。
そんな乙女心込められたチョコを、待ち焦がれていた。
かくしてその運命は。
特に何もなかった(天丼)。
いやいやいやいや終われるかい。
天丼した挙句このオチでは流石に寂しすぎます。
まああくまで私の話ではなく、とある知り合いの話を聞いていただければと思います。
決して何か思っても友人の話だと飲み込んでいただければと思います。
お願いしますね(血眼)。
特に何も起きなかったバレンタインデーから一日経って、特に何も思わない鋼のごとき心で(誇張)いた放課後、E藤はふと忘れ物を思いだして教室に戻った。
教室には誰もいないと油断をしていたんだが、控えめなリスみたいな挙動をした人物が、まだ教室に残っていた。
保育園が一緒だったSちゃんだった。
保育園の頃は目に怪我をしていたのか、ガーゼを当てていたことが印象深い。幼子心でも思い出せるくらい、声も小さくて控えめな印象の女の子だった。
「残ってるなんて珍しいね」
「うん……」
なんだか歯切れが悪い気はするけど、いつも人よりも自己主張をしないたちなので、特に気にすることはなかった。
帰ろうとした矢先だった。
「ちょっと待って」
珍しいこともあるもんだ。Sちゃんに引き止められるなんて。委員会活動などでたまに話はするけれど、二人きりで話をする機会はほとんどなかった。
立ち止まり、Sちゃんを見据える。普段とは違う佇まいに、期待がないと言えば嘘になる。
ドキドキとするのは、ただ単に心臓が働き者だからかな。
でも、もしかして。
「これ、渡せなかったから」
想像しなかったわけではなかった。
けれど、半ば諦めかけていた心に差し込んだのは、甘い甘い一つの
「いつもお世話になってるから……」
「あ、ありがとう」
受け取った包みを、ロクに確認しないままに自宅へと駆け出した。なんだかとても熱くて、チョコを溶かしてしまうくらいの熱に浮かされる。
逃げるように帰った自宅。開けられた思いは手作りのトリュフチョコ。
不恰好なその味は
とてもとても、甘い。
渡せなかったプレゼントは押入れの奥に仕舞われて、思いの置き場は思い出せない。
時々、夢のように思ったりする。
あの時の自分に、もう少しの勇気があったなら。
今とは違う結末を、迎えていたのかもしれない。
けれど、そんなものは今日も笑い飛ばす。
あの時の自分は、所詮あの時の思いでしか動けないのだから。
物足りなくて、失敗したかもしれない過去の延長で、今があるのだから。
こうしてあの頃よりちょびっと大人になったE藤は、
2018年のバレンタインデー。
食べ放題の蟹を食べてました(チョコ関係ない)。
5800円でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます