技術の発展を心から 願わないです

 今月は飲み会続きでした。


 1週目は職場の新年会。


 2週目はIくんとDくんとの飲み会。


 3週目は職場の先輩との飲み会。


 4週目は職場の人の送別会。


 もう毎週飲んだくれておりますが、決して好きで飲んでいるわけではないのです。


 やはり社会人たるもの、コミュニケーションを職場外でもとっておき、今後仕事をする上で円滑な関係を築く努力をすることも、一つの戦略であるのです。


 飲みニケーションという文化は最近では薄れており、飲み会に参加することは義務ではなくなっている中、参加することの意義があります。


 人間関係を良くしたり、思わぬ話を聴くことができたりと、純粋に生存戦略の一つとして活用する図太さがあってもいいと思うのです。


 そんなわけで、私が決して好きでお酒を飲んでいるように思われないように、少々うっとうしく感じられるかもしれないとわかっていつつも、誤解をされないように弁明をさせて頂きました。


 ともあれ、これで私が飲み会に好んで参加しているわけではないということを、わかって頂けたと思います。


 ああ本当に大変でした。


 ところで、










 私のお酒が足りないのですが?(裏切り)




 ……違いますよ?←何が


 飲み会に行くというからには、事情がある場合を除いて、基本的にはお酒を飲む場だと思うのですよ。


 乾杯とは、杯を乾かすと書きます。


 そして、乾かした杯にはまた次の物が注がれます。


 その流れこそが、飲み会における儀式のようなものなのです。


 無くなっている状態は失礼にあたり、またいつまでもドリンクをなみなみと注いでいる状態もまた失礼なのです。


 ということは、無くなったら次のものを飲まなければいけないですよね(笑顔)。


 それでは、完璧な説明はさて置き(こいつの戯言こそさて置いてください)、つい昨日行われた飲み会は、同病棟に所属する男の子の送別会でした。


 くしくも、私と名前が同じなのです。名前にスケを持つ者同士、シンパシーを感じていた彼が辞めてしまうのは理由があるとはいえ、悲しいです。


 でも仕方がないのです。


 だって、次の職場では給料が上がるらしいのです。






 ならしゃあないな(この上ない納得)。




 看護補助さんの給与の安さを思うと、致し方ないと思わざるをえないです。



 そして今回の飲み会の参加メンバーは、病棟の看護さんと私でした。


 Dr.の参加する忘年会よりも参加人数が多かったことに、決して触れてはいけませんでした(目そらし)。


 場を引っ掻き回し、危険が及びそうな状況ではすかさず逃走する、奇策士の師長。


 スキンヘッドに髭面。125キロの巨漢にして30キロダンベルを片手で上げる。病院最強のヤクザ(風)、Nさん。


 そしてエッセイでもお馴染み、病棟の男子の唇を軒並み奪う、最近パパになったウェーイ系男子。Hくん。


 そしてミスター人畜無害こと遠藤(自称)。


 ぼくのまわりにはこんなにもすてきなみんながいます←囲まれているともいう。


 あっ今回はキスはないです(小声)。


 酔っている者の話というのは、それはもう色々な方向にシフトします。


 ぐちゃぐちゃと喧嘩をする蛇のように絡み合い、全く関係のない話へと飛んだりするものなんです。


 集団の力に、個が太刀打ちできるわけでなく、時に思いとは裏腹な展開になったりします。


 それで今回どんな話になったかというと、


 師「それで、孝祐はいつになったら彼女作んの?」


 やはりこの話でした。

 飲みの席とはいえ、そろそろ話題にするには面白みのない話です。

 特に何かあるわけでもなく、正直積極的な行動を心がけているわけではないので、何かが進展しようもないことは残念ながら真理です。

 とはいえ楽しい飲みの席のお話。

 あまり場を白けさせることは本意ではありません。


 ここは「特に面白いことはないんですよね。はは」と大人な対応を致しましょう。さり気無く別の話題を誘導し、この後の雰囲気を損なわないようにしましょう。


 私は答えました。







 遠藤「出来ないんですよおおおおおお」





 えっと。






 酔ってました。







 大人の対応……。






 ええ、皆さんの時は一瞬止まりました。


 これで私も時間を操る能力者の一人です(厨二感)。



 しかし、こんなことには慣れっこの歴戦の猛者たち。すぐさま話題の転換を図っておりました。


 師長「世の中すごい勢いで流れていて、今はVRの発展がすごいんだってな」VR←バーチャルリアリティ。ゴーグルなどを媒介にして五感を刺激し、あたかもバーチャルが現実にあるように認識させる技術。


 遠藤「はあ。そうなんですね」


 師長「だからさみんなVRゴーグルを日常的に使う時代が来ると思うんだよ」


 遠藤「来るかもしれないですね」


 師長「だからさ、VRで彼女を作ればいいじゃん」


 遠藤「それはあまりにも虚しすぎるでしょう!」


 二次元は俺の嫁って言ってるのとなんら変わりないじゃん!


 そこですかさず、Nさんも口を挟みます。


 N「そういえば、オランウータンって、人とほとんど遺伝子が変わらなくて、人間の子供も出来るらしいぞ」


 師長「そうか。じゃあVR技術を使えば、オランウータンも美少女に見えるじゃん






 オランウータンと結婚すればいいじゃん」




 遠藤はオランウータンの婿にされる!?



 リアルけものフレンズ誕生の予感に、私は震えました。


 武者震い?いえ。


 純粋に恐怖です。


 恐怖に震えて声も出せないでいると、隣で飲んでたHくんの厚い手が肩に乗せられました。


 H「遠藤さん! 結婚っていいですよ! 小遣いは少なくなり自由時間もないですけど、子供が可愛いだけで幸せっす。結婚ってイイっすよ!」


 遠藤「それならもっと幸せそうな言い方してくれよ!」


 N「遠藤も彼女もちになるのか。オランウータンだけど」


 師長「だけどさ、こっちが一方的にVR着けてるだけじゃなくてさ、オランウータンの方もVR着けてたら嫌じゃない?」


 三人「わはははははははははははははは」







 遠藤「人間の女性と付き合う選択肢をくれないっスかね!!」




 えー、どんな生物であれ、生きているということはとても尊いことです。


 虫も、魚も、オランウータンも、チンパンジーも、そしてもちろん人間も。


 命の重さは等価値ではなくて、軽んじられる命もあります。


 それでも、何もかも生きているという現状は尊いこと間違いはないです。


 そして、新たなる命が生まれることの尊さと感動を、私は少なからず知っています。物語にまでしたくらいなのですから。


 新たなる命の担い手となる覚悟を決め、その時が訪れたなら、私はきっと涙するのでしょう。


 その可能性に思いを馳せながら、科学技術が発展した暁の未来について、思ってしまいます。


 現実に虚構が入り混じるスーパー科学の世の中よ。










 オランウータンと結婚するくらいならそんなもんいらんです。


 科学技術の発展を呪ったことは、生まれて初めての経験でした。










 病棟のマスコットのような純粋で天然なおじさんのH山さん「一個だけいいか? オランウータンって言ってるけど









 それ多分チンパンジーだから!」










 どっちでも嫌です。










 帰宅したのは夜中の24時過ぎ。なんやかんやで深夜1時。


 お酒もしこたま飲んで、時折吐き気に襲われました。ちょっと頭もフラフラしていました。


 ただその日はあれです。ボードに行く日です。


 起床予定時間。


 4時半。




 ……やったあ後3時間半も寝れるぞ!(空元気)。


 乾いた笑いを奏でながら寝る準備を進めていると、ボードに一緒に行く予定のIくんからラインが入りました。


 I「下痢便が止まらん」











 お大事に。


 果たして遠藤はスノーボードに行けたのか!


 そしてしこたま飲んだ上に寝不足の遠藤はスノーボードがそもそも出来るのか!


 次回に続きます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る