あめふり
心の氷
第1話 雨
いつも雨。
学生時代は数々の遠足や
修学旅行を延期にさせてきた。
僕が1人や友達と街へ出かける日はだいたいが雨だった。
建物から出た瞬間に曇っていた空から
大粒の雨が落ちることはもう馴れっこ。
知らない間に雨男と呼ばれるようになった。
今日は久しぶりの休日。
「けんちゃーん!あさごはんたべよっ!」
「トースト焼いてるからー!」
姉の声が階段の下から響く。
iPhoneで時間を確認するともう11時か。
パンツにTシャツ姿で階段を降りた。
階段の途中でチン!と音がした。
我が家の食パンに乗せるものは
ハムとチーズと目玉焼きだ。
姉が朝食を作るなんて珍しい、
昨日はよっぽどいいことでもあったのだろうか。
普段は僕が作らされるのに。
僕は2個のマグカップに
緑茶とコーヒーを注いだ。
もちろん、コーヒーは僕。
なんて格好つけたいけど、砂糖大さじ1杯、ミルクはコーヒーと1対1で
初めて美味しいと思う。
お腹いっぱいになったから
この後はゴロゴロしよう。
二階の自室に戻った。
今年の夏は異常気象で
もう3週間くらい雨が続いている。
しばらくして、鼻歌が階段を登ってくるのを聞き取った。
勢いよくドアが開く。
「けんちゃん!お願いがあるんだけどーー?」
姉が鼻歌を歌いながら階段登ってくる時はいつも僕の部屋を訪れる。
「……(うわ、でたよ)なにー?」
「TS〇TAYAでさ、呪〇のビデオの最新巻借りてきてよ〜♪」
「まじかよ え〜 雨降ってるよ?」
「お願いどうしても観たいの!」
「参ったなぁ…。」
「どのくらいで帰って来れるか測ってるからさ、ほらほらヨーイドン!」
僕は傘を持ちテキトーな格好で外に出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます