第149話ノンキ兄になる
「兄者!お待ち下さい兄者!」
ノンキの後ろをふた回り以上の大きなゴブリンがドスドスと追いかけていた。大きなゴブリンの名はダワパッチャと言う。
かれこれ数日、このようにダワパッチャはノンキにビッタリである。最初は兄貴と呼んできたのだが、
ノンキにとっては兄貴と言えばゴブ太の兄貴であるためそれは畏れ多く、変えて貰い最終的に兄者に落ち着いた。
ビッタリな理由と言えば、ノンキがダワパッチャを改心させ、捕虜の身から解放、ダワクチャ族のゴブリンに関しても償いによる労働はあったがそれ以外には咎めなかった。もろもろがあり、ダワパッチャはノンキの漢気に惚れ大怪我により体調が戻らぬノンキの介抱をしたり、体調が回復した後も外へ出る度に付き従った。
ダワパッチャパパから言えばもろもろの事もあるが、ダワパッチャは血の繋がった兄弟もおらず、子供の頃から大人よりも強かったため自らが慕う相手も居なかったのだが、本当は少しそういうのに憧れがあったのだそうだ。
生まれ落ちて直ぐに自らが常に先頭を走り、それを誇りに思う一面、後ろを振り向かぬ限りは目の前には自分一人と錯覚し少し寂しかったのかもしれない。
しかし、これをよく思わぬゴブリンがいた。
物陰からノンキとダワパッチャを見つめるゴブリン
族長の孫娘のリーダーゴブリンである。
隠れているつもりではあるのだが、たいした物陰がないこの村で気づいていないのはノンキぐらいである。
ダワパッチャにしても自分が彼女の親の仇であるため
なかなか自らが話し掛けることも出来ないため。見てみぬ振りを通している。
「おい!ハナコ!」
後ろからそんなリーダーゴブリンを呼ぶ声がした。
ここで初めて族長の孫娘のリーダーゴブリンの名前がハナコであった事が判明するがこの際気にしてはいけない。大抵のゴブリンに固有の名前等ある方が珍しいのだ。
ハナコと呼ぶ声は祖父である、族長ゴブリンだ。
分かりやすくオロオロとし出したハナコであったが
いつダワパッチャが本性を現してノンキに危害を加えるのじゃないかと見張っていると言う、そこそこ納得出来る出任せで乗り切ろうとした。
族長ゴブリンは大きなため息を吐き、そうかとボソリと呟きその場を後にする。悩みの種が1つ増えてしまったのだろう。頭を抱えていたがハナコにとってはそれどころではなかったのだ。
ゴブゴブ言うて、ハナコはコソコソしております
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