第148話食客ノンキ

『お目通り感謝スル』


族長よりは少し若い老ゴブリンが一匹入ってきた。


老ゴブリンはダワクチャ族のダワパッチャ軍の副官であり、ダワパッチャの父ゴブリンだと名乗った。


ダワパッチャの父ゴブリンはその場に居る、ダワパッチャには一目もくれず族長ゴブリンとノンキに向かい頭を下げた。

族長の孫娘であるリーダーゴブリンは「息子可愛さに命乞いにきたのか!」と吐き捨てる。


チラリとそちらに目をやるが直ぐにノンキの方へと向き直った。図星ではあるがそれだけではなかったのだ


ダワパッチャの父は、現在のダワクチャ族とダワパッチャが周辺部族へ及ぼす影響を話し出した。


要約すればこうだ。


この砂漠には無数のゴブリン族が存在する。ダワパッチャが纏めていた部族はほんの一部であったが、ダワパッチャの武力はトップクラスであったため表立っては争いを起こす様なことはなかったが、今回ダワパッチャ軍の敗北と誤報ではあるがダワパッチャの死が伝えられた結果、今まで静観していた西側のゴブリン族や他種族の侵攻が極めて高く考えられる。その結果現在東側である、ダワパッチャの率いるダワクチャ族と、ノンキがお世話になっている族長ゴブリン達の村のゴブリンには今まで以上に危険が迫っているのだ。


「そんな出任せを!!」


リーダーゴブリンが叫ぶが、祖父である族長ゴブリンが首をふった。族長ゴブリン分かっていたそれはいつも頭を悩ませている事の1つだったのだ。


いつかはまた土地を追い出され放浪するか、それとも最後まで戦って死ぬか、攻めてきたゴブリン族今回はダワパッチャに全面降伏するかの選択しかなかった。

残念ながら最後の選択では孫娘が不幸になったであろうが、それをノンキが何とか断ち切ったのだが、いずれはまた戦いになるのだ。それが弱肉強食に生きるゴブリン達の宿命でもあった。


最悪のシナリオは回避出来たが、ダワパッチャの父ゴブリンの話では北南西にはもっと恐ろしい部族等か点在するのだ。


これは終わりではない、始まりである!

ノンキの知らぬ間にゴブリン戦国時代へと突入していくのである。



しかし、ノンキはこれ程大事を話し合っている間

居眠りをしていた。

これは仕方がない事でもある。傍目には気楽に見えるノンキは、左手の裂傷及び、右腕の粉砕骨折及びわき腹の打撲による痛みと内臓の損傷の恐れがあったのだ。これはダワパッチャとの戦いで見せた技の代償である。



ゴブゴブ、ボブボブ、ボスボス言うてます。








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