第123話海竜のおっちゃん

!?

声にならぬ悪寒。



ノンキと言うゴブリンの若者が食べていた

足の一杯生えたタコと呼んでいた生物に

異質な魔力を感じとり、あの気持ちが悪い魔力の正体がそのタコであると分かったまでは良かったが、その魔力量は感じ取っていたものの本の僅であった。

その姿を見た時に直ぐに思い出せれば良かったのだか、もう数千年もの昔の記憶を掘り起こすのに時間が掛かってしまったのだ。


巨海獣オクトーパス。神代の時代にはまだ数余多いた海竜との争いに共に滅亡の道へと

進んだ両者にとっての天敵であった怪物。

サイズは微々たるものであるがその怪物との

姿はそれに瓜二つであったのだ。


船が向かった方へと追いかけた。


船は既に足にからめとられ帆を残し水中へと引きずり込まれていた、頑丈であるとは聞いていたが船内に居るもの達は水中での呼吸など出来る筈もない。


船に絡む足を尾の一撃にて切り裂く。

水しぶきが上がり、湖面が荒ぶる。


水中深くに潜り相手の姿を確認した

丸みを帯びたそれは正に記憶にありし姿。

ただ、ただ嫌悪、何頭もの海竜が食い荒らされ、何匹もの奴等を屠ったか。

当時はまだまだ青二才ではあったが体力はあり余っていた、数時間にも及ぶ死闘などものとはしなかったが、今では老いと何百年もの間ただただ動かずに居た事で、体が頭についてこなくなっていた。

船が波で遠ざかって行くのを確認し

一旦距離を取ろうとするが絡み付く足を振りほどけずに水中へと引きずり込まれる。

牙で足を切り裂くも、再生力が強く、ものの数十秒で元通りの憎らしい足が生えてきた。


!?


激しい痛みを感じた固い鱗に覆われた腹を

囓られた。傷はまだまだ浅いがこのまま何度も囓られれば堪らないと振りほどこうとするが、足の締め付けは厳しくなり身動きがする事が出来ないのだ。

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