第102話アルバイ辺境伯

雇っていた冒険者のイオリード殿の活躍により、ドラゴンは空の彼方へと逃げ出した。


陛下はドラゴンの素材が手に入らないと不満であるらしいが、命あってのなんとやらだ。

ダンジョンマスター殿との内通がなければ

あのままでは全滅もやむえなしであっただろうに。


ドラゴンの巣を探索すると陛下の機嫌も直った。巣穴の中にドラゴンの鱗や牙などが

磨かれたように綺麗に整頓され残されていたのだ。


…怪しい、怪しすぎる!!

1人冷静である私の目には不自然すぎる。


戦闘の興奮とお宝の興奮とで皆のテンションがおかしすぎて誰も怪しむ者がいなかったのが幸いであったが、ダンジョンマスター殿…やり過ぎだ。


改めて巣穴を見渡すと、此処彼処が掃除をした後のように綺麗に整頓されている。

地面もなんだか床ぶきをした後のような…


直ぐに出よう…。

さあ皆さん!お宝をもって王都に帰還しましょう。帰るまでがドラゴン討伐ですよ。

ささ、頭が冷えて冷静になり、色々な事に気付く前に…。さあ、早く。




視線が痛い。流石に陛下に誤魔化しは利かないよなぁ。

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