第47話一人前になった猟師

冒険者のドルバンさんが村に走り込んできた


「大変だ、はぐれオーガがでた!!

戦える奴は直ぐに来てくれ!!」


俺は直ぐに猟に使う弓矢を担ぎ、村の門へと向かった。


門には既に戦える村人と、村に滞在する冒険者がオーガと対峙していた。

俺もその隊列に加わる。

猟師の師匠もその場に来ている。師匠の放った矢は真っ直ぐオーガに向かったが、その矢は硬い肌に弾かれ明後日の方へと飛んでいった。師匠の矢で駄目なら俺なんかの矢じゃ…


村を守るように半円状にオーガを囲む。

冒険者を主軸としているが、俺達村人は烏合の衆だ。冒険者がやられれば直ぐに皆恐怖で一目散に逃げ出すだろう。本当なら直ぐにでも逃げ出したいが、村には沢山の村人がいる。隣の新婚の夫婦も、年より連中や朝から元気に駆け回る子供達や、薬屋で働くあの子も…


ガクガク震える足が何度も地面を鳴らす。

オーガが此方へ走ってくれば防御する術はない。一撃の下あの世行きなのだ。

オーガをこの場に引き付ける為に泥だらけになるのもきにせずに、転げ回りながら少しでも時間を稼ぐのが役目だ。


グォォーーーー!!


しまった!!オーガが雄叫びを上げる。

これはウォークライと言われるオーガの技で格下の相手の体の自由を一時的に奪うのだ。


俺は、恐ろしい雄叫びに硬直する。

気付いた時には盾を持った冒険者を弾き飛ばし、オーガが俺達村人の方へに突進をしてきた。


クソ!!足が恐怖で動かない!!


その方向には最近結婚したボルムさんもいる!俺は恐怖を打ち払い、担いだ弓を引き絞り渾身の一撃を矢に込め放った!


突進した勢いのついたオーガは、飛んで来た矢を掴もうとしたが、掴むよりも速く矢が

オーガの右目にと突き刺さった。

正直当たるとは思ってもいなかった。


オーガは怒り、ターゲットを俺に絞り

こっちに方向転換してきた。

もうだめだ!俺からすれば矢を放てただけでも上出来だった。足は未だに言うことを聞かず、震えるだけ。オーガの攻撃を避ける余裕などはありはしない。


振り上がる斧を目にし、強制的にこの世に別れを告げようとする時、横から緑の風が吹いた。

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