第18話ゴブスネ

俺はゴブスネ、マスターから名前を頂いた

偵察班の班長である。

「おわかれゴブ」

俺はマスターとの通信を一方的に切った。

通信は便利である。いつでもマスターと繋がり、お言葉を頂ける。班長だけの特権である

ゴブ太先輩達は個人での通信を許可されているエリート集団だ。皆の憧れであるゴブミさんもいる。


俺は部下の2匹に最後の任務を申し渡す。

「ゴブハン、ゴブゾウ」


一瞬2匹はポカーンとした。それはしょうがない事だ。まだ名前を頂けない2匹であったから。もう一度呼ぶ。


「ゴブハン、ゴブゾウ。それがお前達の名前だ!マスターが死地へと赴くお前達に付けてくださったのだ」

2匹は涙を流した。俺も初めて名前をマスターから頂いた時は嬉しさで涙し、その日の夜も眠れなかったものだ。

暫く前、マスターに任務の報告をした所

何か欲しい物は無いかと問われたことがある

俺はその時に、部下達の中で名前を欲している者がいると言う話をし、功績を挙げた部下に名付けを願い出た。その時マスターに

この、ゴブハン、ゴブゾウと言う名前の候補を頂いたのだ。どちらも歴戦の忍者なるものの棟梁が名乗る名前の一字を頂戴しているらしい。有り難く2つの名前を頂いた。

しかしマスターは、まだお前の欲しい物を聞いていない、何がいいかと問われたが…

俺は俺の名前の由来を聞きたいと申し出た。

少し考えたマスターは、ゴブスネの由来を教えて下さった。

曰くどんな危険な任務も成功させる

伝説の英雄の名前にあやかったと。


俺は感激した。



三度呼ぶ。


「ゴブハン、ゴブゾウ。我ら最後の任務聞き届けよ」


「はっ!」


2匹の部下は片膝を付いた。

任務の説明に入る。

人間達は直ぐそこまで迫っているため手短に済ます。

俺がまず囮になり、僅かばかりのお前達の逃げる時間を稼ぐ。その間にお前達はオーク達の大群がいる場所へ向かいながら人間達をオークへと誘い込むのだ。


「しかし、ゴブスネ班長が最初の囮にならなくても我らのどちらかにお任せを!」

ゴブハンが言い、ゴブゾウがうなずく。


「おまえ達の足ならば人間達は警戒無く誘い込まれよう。俺が逃げればそのまま逃げ切っててしまうではないか。それでは意味がない。俺は芝居など不得手だ」


違い無いと頷く2匹。


俺はスンスンと鼻を鳴らす

「人間共が近づいてきた後は任せたぞ。」

「「我らにお任せを。」」

「行くぞ」


人間達が姿を表した。数は多い!これならば

我が謀も成功しよう。さぁゆくぞ!!



(ゴブゴブ言うとります。)

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