女神が生誕しちゃってるんですけどっ!?
「えっと、<
「あと、<
<
「
どうやら、ここまでは理解されているようだ。
「悪い事はないけど、例えば物を浮かせる<
「悪い事はないけど、捧げた分の授かりものが少なくなるのね」
「うん。でも、<
「それでも、自分で御霊に
エニシさんが、少し
どうしてそんな
俺に、そう問いたげな瞳を向ける。
「俺の<
「ああ、それだと
普段から
そう、
生活するだけで多くの労力が必要なこの時代であれば、<志念>の修行に費やせる時間は、ほとんどないに等しい。
「うん。俺の<
「それでも、人の身で
「今は未だ一日か二日に一人が精一杯かな? 他の事もしながらだったら五日に一人だけど、俺の<
「
「うん。俺の<
エニシさんが理解したようなので、俺は<誓現>を満たすための説明を続けていく。
「小石の例えだと、百になれば九十ということね? 力が大きくなっていけば捧げものも大きくなる」
「そうだよ。力は大きくなればなるほど増やすための力も大きくなるから。そして、それは再び戻らないし、もし<授けた人が<
「アメツチに
「うん。そういう事なんだと思う」
これで、三つの誓現を一応は果たした事になる。
一つ、契約者に契約後は貸した<志念領域>と<波気>は戻らないと
説明して心からの同意を得る。
二つ、契約後、契約者の修行を終える前に自分が死んだ時は目覚めた仮初の能力も消えると契約者に説明して心からの同意を得る。
三つ、借り受ける<志念領域>と<波気>は固定量ではなく契約者の成長に比例して一定の割合となる事を説明して心からの同意を得る。
その三つの中の本当に大変なはずの部分──心からの同意を得る事──に対する不安は
前世で黒歴史となった部分なのだが、ここは<和の民>の
疑う事があたりまえのゼロサムゲーム理論で動く契約社会ではない。
まして、相手が
しかし、だからこそ破滅を迎えるのだ。
正直者は裏切られ、不器用な者は奪われて、善を望めば殺される。
それが戦国の世というもので、現代にまで続く
「俺はエニシさんが好きで、この
何も知らない者が聞けば、力を得たのが運命だったのだと聞こえる言葉だが、その実は違う。
強く想い念じる力は、一つの道を見つけ志して、<志念>へと繋がる。
「そう。だったら、わたしもアメツチに応えなければいけないわね」
それをエニシさんは、誤解せずに受け止めてくれた。
前世の世界ならば、斜に構えたり、気恥ずかしがったりしてしまって、真剣である事に耐えられない‘ 甘え ’を持つ人間が多いが、<和の邦>では心を誤魔化して生きる事こそが恥なのだ。
「エニシさんは、どんな<
そうして
「わたしは、人が幸せを得られるように
普通なら、ここで俺がエニシさんの<志念>能力を設定する
しかし、そこで思いがけない容で【設定者の悳献】が発現していく。
それは、ある種の共鳴だった。
そう、強く想い念じる力は、一つの道を見つけ志して、<志念>へと繋がる。
幼い
その二つが奇跡のような巡り合わせで融合して自動的に発現したのだ。
【設定者の悳献】を使う最中に、エニシさんを俺の<波気>が包んだ状態で、エニシさんが自力で天然の<志念使い>として覚醒した事で、【設定者の悳献】と共鳴したのが最初だった。
それだけならば、単に俺の<波気>を取り込む事によって得るよりも強い<志念>をエニシさんが得ることで終わっただろう。
だが、エニシに発現したのが、自分のための力でなかった事で、それはただそれだけに終わらなかった。
‘ 人のために在るべく在る ’エニシさんの<志念>は、個を越えて人類全体の無意識の繋がりへと道を繋げる<志念>だった。
天理の<志>と地情の<念>から<志念>が発現するように、天地陰陽の螺旋が万象へと繋がり、エニシという人を次元の違う存在へと押し上げて行った。
その連鎖は
女神が生誕しちゃってるんですけどっ!?
前世の俺ならそう叫んでいただろう。
それは、純粋な人の在るべき理想を願う者だけが、その者の願いを純粋に叶えたいという想いを持って【設定者の悳献】を発動させた事で得られる個を超えた<人のための志念>だった。
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