日常不話
小国むぎ
第1話
夏の夕暮れ空
私は毎日1時間の車通勤をしていた。
毎日の通勤は退屈だ。
仕事を終え18時を過ぎた頃、いつもの道を車で走らせていた。
帰宅ラッシュの混雑で車はなかなか進まない。
ふ、と空を見るとキレイな夕空が広がっていた。
何となく雲を目で追うと空から垂れる様な雲があった。
まるで神様が空から布を垂らしてるみたい。
そんな事を考えていたら車が進む。
また信号で停車する。
そして垂れた雲を見つける。
ああ、蜘蛛の糸のお話しみたい。
天から垂れる蜘蛛の糸を登ると天国に行ける。
退屈な日常から抜け出して私も天に昇って見たい。
車が順調に進みだした。
チラッと窓の外を見るとずっと同じ位置に垂れた雲が見える。
移動しているのに。
不思議に思いながらも、帰りにスーパーで買う物を思い出していた。
大きな音と衝撃。
胸が詰まったかの様に息ができない。
ハンドルを握りしめる手に力を入れる。
ハンドルを握っているはずなのに手にはサラッとした感触。
大きく息を吸い目を開ける。
目の前は赤く染まっていた。
周りを見渡すと、
遠くで事故があったようだ。
小さな軽自動車にトラックがめり込んでいる。
あれじゃ、運転手は即死かな。
軽自動車は前が潰れて半分になっていた。
見覚えがあるクッションが車の中に見えた。
私は空を仰ぐ
私が握りしめていたのは空に垂れる雲に見えたものだった。
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