第16話 ラブストーリーを書く理由について

ラブストーリー、それは若い人へのメッセージだ。もうこういう失敗はしてほしくないという。


ラブストーリーを書いていると、もう一度青春の真っ只中にいるような気がしてくる。もう一度人生をやり直せる気がしてくる。いろいろな後悔の中にいる自分にもう一度生き直す機会を与えてやれる気がしてくる。そして別の人生を経験させてくれる。楽しい。


ラブストーリーの中では確かにもう一度人生をやりなおせる。でも人生は、幸せはきっとモザイク模様なんだろうと思っている。人生がやり直せたとしても、別の生き方をしても、きっといいことばかりではない、悪いこともある。すべて受け入れなければならない。そんなものだと思う。僕の人生も今の生活でもいいところはいっぱいあるし、ひょっとすると悪いところの方が少ないかもしれない。


神様はすべての人に幸せと不幸を平等に与えてくれていると思っている。人生はモザイク模様、人生は塞翁が馬、いいこともあれば悪いこともある。それを受け止めて受け入れて行かなければならないと思う。


僕のラブストーリーはすべてハッピーエンドで終わらせているけど、人生はそれからだし、書かれていないその後の部分には幸せも不幸もモザイク模様のようにちりばめられているだろう。でもそこまで書きたくないし書くまでもないことだ。白雪姫にもシンデレラにもそれからのお話はない。それがそれぞれの人生だから、あとはどう生きるか自分でその時その時で考えて最良のチョイスをして行くほかはない。


でも日本昔話では「おじいさんとおばあさんは幸せに暮らしましたとさ」で終わる。老い先の短いおじいさんとおばあさんでは確かにそれでよいのかもしれない。

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