第6話 機械仕掛けの男 5枚 オマケ(参加作 プロローグ 2枚)
オマケ
(参加作、予告)
【switch】
巨大な闇が近付いてきた事を五感以外で感じた。直ぐに周囲の光が奪われて街中に闇が出来た。車の中にいた私は、フロントガラスから上を覗くように身を乗り出して空を確かめた。漆黒の雲が無数の絡み合う蛇のように膨張していく。突然、強烈な雨がフロントガラスを叩き割る程の勢いで落下してくる。ワイパーのスイッチを入れるのも間に合わないタイミングで車体ごと振動させる強烈な雷鳴と、思わず目を閉じてしまうような閃光の稲妻が連続して朝の渋滞に並ぶ目の前の車に次々落ちる。まるで、SF映画のような光景。私は成す術もなく呆然とその光景を眺めた。やがて、鼓膜を突き破る程の激音と閃光が順番通りに私の車に落ちた。
気付くと繁華街の通りに私は立っていた。
右手に息子にせがまれて購入した木製バット。左手に見覚えのある刺身包丁。出勤前に妻がアイロンを掛けてくれていた白のシャツは赤黒い染みが無数に付着している。私だけではない。通りに倒れる数人が路面を自らの血液で真紅に染めていく。
事態の把握か不可能なまま私は呆然とその光景を眺める。逃げ惑う人々が私を指差し何かを怒鳴っているが、それが言葉として認識出来ない。それどころが私の肉体は私の意識を超越した場所で何かを喚き散らして歩き始める。
『止めろ!』
私は自分の肉体に怒鳴り付ける。自分の心の中心に殴り掛かる。自分の細胞全てに懇願する。路上に倒れていた幼い子供の身体に幾度も左手の物を出し入れする私自身に懇願し続ける。
数ヵ月の内に頻発する通り魔事件。動機は、犯人達が一貫してとる行動によりハッキリさせることが出来ない。岩城和剛は新人刑事の野崎侑真と理由の分からない事件の渦中に巻き込まれる。
止まらない事件の連鎖。その詳細を拾い集める二人。
地場を狂わす人間、感染する狂気、オカルト的な思考に惑わされながらも次第に見えてくる真実。
生き延びる為に、殺す。
単純な自然界の摂理に触れた時に岩城の視線から見えたものは……
【予告は本編の流れを組みますが、本編では語られない部分も書き込まれています】
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