短編集

仙石菖蒲

始まり始まり。

赤い暖簾をくぐった先にいるのは、童のように小さく可愛らしい娘。

真っ赤なほっぺにうっすら桃色の唇、漆黒の瞳はまるで処女のよう。


『いらっしゃい。なんや今日もきてくだはったんか』


関西訛の可愛い声色。


『今は品物の入れ替え時でなあ、なーんもあらしやへん。店員も退屈やねんよお。』


不満そうな表情を浮かべた後、にこりと笑ってこちらに話しかける


『せやさかい、話し相手なってくれまへんか』

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