第2話

というのも

正義は最後には勝つ、

悪いことをしたら自分に返ってくる、

悪者は最後に負ける、

これら倫理・道徳は基本的には現実のなかでは必ずしも真実ではなく、悪いことをしてなくても不運にも殺されてしまう人もいるだろうし、自然現象によって死に至る人もいる。

悪いことをして最後までそれがまかり通ったり、正義が必ずしも勝つわけじゃない。例えば中国では民主主義者が弾圧されて、本来正義であるべき自由が社会によって奪われている。劉暁波氏や天安門事件に照らし合わせても明らかな正義が消されている。

これは中国に限ったことではなく日本の人間社会のなかにだってある。正義であるはずのものが負けることもある。また正義が何なのか見えなくなることもある。子供の頃に植えつけられる勧善懲悪説や人との美しい繋がりも現実はもっとどろどろしている。サルトルが見つめた他者とはそういうものだ。もっとどろどろとして得体の知れないものである。

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